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デート_18

覗き込んだ瞳孔が微かに開いて、次の瞬間には瞼が下がっていく。 釣られる様に僕も瞼を落として、唇に触れる熱を感じた。 さっきと違う、触れるだけの優しいキス。 でもさっきより熱くて、心臓がドキドキする……。 「――あ………」 もっと感じていたかったのに、それはすぐに離れてしまう。 「……そんな顔しないで。割と我慢してるから」 「我慢………?」 「ここ、一応人来るからね。郁弥くんの可愛い顔はあんまり見せたくないから我慢しないと」 「可愛っ……」 「僕ね、多分すごく独占欲強いから。ごめんね?」 独占欲……。 今までそんな欲をぶつけられた事なんてあったかな……。 僕に向けられる欲は、いつだって性欲だった。 それが満たせなくなれば捨てられるだけ。 ただの捨て駒と同じ存在。 そんな僕をこの人は独り占めしたいって言ってくれるんだ…。 どうしよう………。 嬉しい……嬉しくて、嬉しくて、それなのに涙が溢れて止まらない。 「え、ごめんね。泣くほど嫌だったかな?」 焦る長谷さんにそんなこと無いと大きく首を振った。 「う、嬉しっ…です……っ……独占よ、くぅ……ぅっ」 「良かった。涙、止まらないね」 「うれっ……しくて……」 「ふふ、ところで…」 長谷さんの指先が目尻の涙を拭って、僕を見下ろしていた笑顔は急に真顔へと変わっていく。 「結局さっきの男は誰だったのかな?返答によっては引き返して殴っちゃうかも」 「殴っ……、あの人は全然知らない人で……迷子になったなら一緒に行こうって声掛けてくれたんです…」 「じゃあこの唇の傷は?」 「これは…自分でやりました……」 「本当?」 「本当です……!信じて、ください………」

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