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番_2

いつも立ち寄るコンビニも今日は横目に通り過ぎ、恐らく過去最速での帰宅だろう。 心を落ち着けるよう短く息を吐きだして、家のドアを開いた。 途端鼻に届いた香りは間違いなく七瀬のフェロモンで、家中に充満している。 これ、アイツ理性保ってるのか……? 陽翔の発情期に居合わせるのは初めてではないが、ここまで強いフェロモンを感じたことはない。 兎に角、様子を確かめようと俺は寝室へと足を運んだ。 覗いた寝室ではより一層匂いが強くなる。 並大抵のαならとっくに引きずられてるな……。 「………陽翔、大丈夫か?」 ベッドに腰掛けて、掛け布団に埋もれている身体にそっと触れると、それはビクッと大きく跳ねた。 「あ……、司……?」 布団の隙間から見せた陽翔の顔は熱に浮かされている。 「ああ、ただいま」 「おか、えり……早かったな…」 「お前が早くって言ったんだろ?」 「ん……、えへへ、それで帰ってきてくれんだ……優し…じゃん…」 ギリギリ理性は保ってるらしいな…。 「薬は?」 「…飲んでない……」 「辛いだろ。薬持ってくるから――」 と立ち上がり掛けた俺の服の裾を陽翔は掴んで、蚊の泣くような声で「行かないで」と告げてくる。 「このまま、したい……」 「……………」 「なあ、期待してたのは……俺だけ…?薬飲まなかった意味、アンタなら分かってるだろ……?」

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