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番_3

分かってる。 俺だって期待していなかったわけじゃない。 服の裾を握ったままの手を取って、そっと口付ける。 「………優しく抱ける自信がない。お前のことめちゃくちゃにするかも」 「な、にそれ……らしくねーの」 そう笑う陽翔はいつもの笑顔を見せた。 「いーよ」 「………何が?」 「めちゃくちゃにしてもいーよ。てか、してくれた方がいいかも…」 「はぁ?」 「いや何か…やっぱ丁寧にヤられると変に恥ずかしい気がしてきたから……」 ごにょごにょと消えていく語尾と比例して、陽翔の顔も掛け布団の中へと戻っていく。 「………馬鹿だろ、絶対」 言って直ぐに引き剥がした布団の中からは顔を真っ赤に染めた陽翔が驚いた表情をして、身を丸めていた。 「わっ、ちょ…いきなり、なに……」 「………抱く」 「へ…?ちょっ……――んーっ!」 逃げる間を与えずに重ねた口からは、くぐもった悲鳴が聞こえる。 角度を変えて口腔に舌を差し入れようと閉ざされた唇に這わせた。 「んぅ……っ……」 ビクッと身体を震わせた陽翔は、おずおずと唇を開く。 俺のキスを知ってる、それでいて俺を受け入れようとする。 だから堪らなく、煽られる。 「…んぁ…ふ、ぅ……っ…」 招かれるまま差し入れた舌にすぐに陽翔のそれも絡んでくる。互いに感触を楽しむように。 「は…っぁ、…つ、かさ……」 「……ん?」 合間に呼ばれた名前に唇を離した。 「俺、司の…番になれ、んの……?」

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