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欲_7

重なった瞳が揺れて、たじろぐ身の腰を寄せた。 「ぁ………」 「逃してあげない」 「こ、れは………」 観念したように郁弥くんが口を開き始めた瞬間、僕達に近付く人影に気が付いて、僕も郁弥くんも視線を流す。 「――あ?なーにしてんだ?」 「ぁ………っ」 目に見えて動揺した郁弥くんはカタカタと小刻みに身体を震わせる。 「おいおい、ソイツは俺が目ぇつけてたΩだぜ?横取りはねーだろ、なあ?」 「…………君がどこの誰なのか知らないけれど、郁弥くんは僕の恋人だよ」 僕よりも体格がいい男は不機嫌を露わにする。 「恋人?ソイツの?」 「そうだよ」 「ああ、何かそんな事ほざいてたっけな。なあ、郁弥?」 名前を呼ばれた郁弥くんは大きく肩を跳ね上がらせた。 「あ………」 郁弥くんの手が僕の胸元をぎゅっと握って、縮こまった身を寄せてくれる。 その身体を囲うように抱いた。 「――大丈夫」 「ぇ………」 「僕が守ってあげるから」 郁弥くんにだけ聞こえるように僕は呟く。 「見て分かる通り、郁弥くんは君のこと怖がってるみたいだから今すぐ居なくなってくれると嬉しいな。そして二度と現れないでくれるかな?」 「………ふーん、てめえもαだろ?」 「だったら?」 「ソイツのこともう抱いたか?抱いたよなぁ、Ωの存在価値なんて性欲処理以外ねぇもんなぁ。感度良かっただろ?今まで散々仕込まれてきてんだからな」 この男もα、そして多分………。 「そんな華奢な身体してっけどよ、案外頑丈なもんで二、三人まとめて相手させても壊れなかったからお前も試してみるといいぜ」 「………………」 「何なら今から俺とお前でソイツ回すってのはどうよ?何義理立ててるのか知らねぇけど、今更もう恋人以外の相手はしないとか言い始めてよぉ。そんな汚れ切った身体で何言ってんだって話だが、お前が恋人だって言うなら一言ソイツに言ってくれればいい訳だ」 「………………」

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