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欲_11

そう促せば郁弥くんは頬を赤らめた。 「あ、の………それ…僕がしちゃダメですか………?」 「………………え?」 僕の勘違いじゃなければ郁弥くんが指すのは、恐らく熱の溜まった僕の昂りのことだろう。 「…えぇーっと………」 「その、僕取り柄とか全然無いんですけど、ほ、奉仕だけは褒められたので…だから、えっと……」 「……郁弥くん、僕は――」 「あ…ごめんなさい、違うんです。そうじゃなくて、……えっと、だから…………つまり、僕が……僕が長谷さんとそういう事したいんです…っ」 言い切った後には「はしたなくて、ごめんなさい…」と小さく付け足された。 目は逸らすのに手は離さない、そんな矛盾さえ可愛いと思う。 「………困ったなぁ。怖がらせたくない。こう見えても結構色々我慢してるんだ。この先何年もあるんだからって自分に言い聞かせてる。……けど、そんな事言われちゃったら無理だよ。――だって本音を言えば、僕は郁弥くんとセックスしたい」 顔には出せない、大人げないから。だけど本当は郁弥くんを抱いた全ての男に嫉妬してた。 「僕は欲張りだから君の全部が欲しくなる。一度始めてしまったら、絶対に最後まで抱いてしまう。…………それでも、する?」 握れていた手を今度は僕が握り返す。 「僕に君を抱かせてくれる?」 「……っ……僕も、したいです……長谷さんと、したい」 意を決したように郁弥くんは僕と視線を交わした。 それから腕が伸びてきて僕の首に回ると、引き寄せられて唇が重なる。 すぐに離れるかと思ったけれど、意外にも郁弥くんの舌は僕の口の中へと入ろうと懸命に唇をねじ込んでくるから、悪戯にそれを()んでみた。 「…ふ…ぁ……っ」

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