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欲_12
驚いたのか郁弥くんは身を引いて、恨めしそうに僕を見る。
「ん?」
「い、意地悪です………」
「ふ、ふふ……ごめんね、可愛くて」
今度は僕から唇を寄せて、舌先で入り口をノックする。
躊躇いがちに開かれた隙間から忍ばせて、小さい舌を掬い上げた。
「あ……っ、…ん……」
舌を絡ませる度に漏れ出る声は甘く僕を昂揚させる。
「…ふぅ…っ………あ……」
唇を離した時にはまるで物足りないと言われているように蕩けた目を向けてくる。
「終わりじゃないよ」
ソファーに座ったままの郁弥くんを抱え上げて、僕は寝室へと足を運ぶ。
その間も郁弥くんは僕にしがみついてくれるから、自然と頬が緩んだ。
可愛いなぁ……理性飛ばさないようにしないと。
ベッドへと降ろして僕も身を乗り上げると、郁弥くんはいそいそと自身の服へと手を掛け始める。
「こーら、それは僕の役目だよ」
その手を止めると郁弥くんはきょとんと首を傾げた。
「え、でもセックスってΩが準備しなきゃですよね?長谷さんの手を煩わせるわけには……」
この子は本当に………っ。
「………違うよ。セックスは二人でするもので、互いを愛する行為だ」
止めた手の代わりに彼の服を脱がせていけば、彼はされるがまま目を丸くしてその様を見ていた。
「僕のも脱がせてくれる?」
「あ、はい……」
おずおずとシャツのボタンに伸ばされた手は震えている。
以前は手慣れた動きだったはずだけど、緊張してくれてるんだと思うと愛しくて、全て外し終えるまでジッと動向を見つめた。
「は、外せました……」
「ん、ありがとう」
ようやく全てのボタンを外して嬉しそうに僕を見上げた額に軽くキスをして、シャツと肌着を脱ぎ捨てた。
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