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欲_16
絵に描いたように赤く染まっていく頬を突いて、僕は笑った。
「可愛い可愛い林檎ちゃん」
「林檎じゃ、ないです………」
空気を溜めて膨れる頬。
初めて見る顔だ……。
「ふふ、いいね、そういう顔。もっともっと色んな顔を僕に見せて」
膨れた頬に口付けて、指先を後ろの窄まりへと忍ばせた。
良かった、ちゃんと濡れてる…。
「あ、の……長谷さん……?指、何してるんですか…?」
「何って、解さないと………僕としたくない?」
「あ、違います。そうじゃなくて……僕Ωですから……」
「………?うん、そうだね?」
僕らは互いに見つめ合って首を傾げた。
「ですから、僕らΩは濡れるので解す必要は無いって…そんな事されたことないですよ……?」
「………………はぁ」
言いたい事は沢山ある。
「あ、ごめんなさ――」
「――君がこれまでどれだけの数の男の相手をしたのか僕には分からないけれど、君がしてきたそれはどれもセックスなんかじゃないし、そんな事をする相手を彼氏とは呼ばない」
「……………」
「僕は君の初めての彼氏で、君はこれが初めてのセックスだ。だから今までの当たり前は全て忘れて。いいね?」
ベッドに沈んでいた身体を抱え起こして、膝の上に乗せる。
「長谷さんが、初めての彼氏……?」
「そうだよ。」
「長谷さんが、初めての相手……?」
「そう、君の初めては全部僕のもの」
これはちょっとした僕の独占欲も混じってる。だけど……。
「初めて、長谷さんが、全部初めて……〜〜うっ、嬉しいです!」
なんて破顔して見せるから、この独占欲は少ししまっておこうかな。
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