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長谷と七瀬SS
『Twitterアンケート1位長谷と2位七瀬でSS書かせていただきました。』
「長谷さんはさーぁ、ほんっっっとーに郁弥のこと好きなの?」
「…………もちろん。愛してるよ」
「うっわ……そんな真顔で愛してるとか急に言うなよ。鳥肌立ったじゃん」
自分で訊いてきたくせに随分な物言いだなぁ。
まあ原因は恐らく………。
と横に目を向ける。
カウンターの端で荒々しくシェイカーを振る藍澤くんは、その視線に気付いていながら知らない振りをするつもりらしい。
さてさて今回はどんな喧嘩をしたのやら…。
「だって本当に愛してるから」
「ふーん………喧嘩とかしないの?」
「しないかな。彼、全然怒らないしね」
「まあ郁弥はなー、そうだよなー……」
と陽翔くんはカウンターに突っ伏した。
「じゃあ長谷さんは……?」
そのままの姿勢で恨めしげに見上げてくる目に、僕はグラスを拭いていた手を止めた。
「僕?」
「そ、長谷さんは怒ったりしないわけ?」
「僕は…………そうだね、怒るよ」
「え!?怒るの!?」
意外な返答だったのか勢いよく上がった顔は瞠目している。
「ふふ、怒るよ」
「た、例えば?」
「彼が自分を蔑ろにした時。寂しい事や辛い事を僕に何も言わず隠した時。僕は怒るかな」
「何かそれ………惚気けじゃん」
「ふふ、バレちゃった?でも陽翔くんだって、そう言われたら心当たりあるんじゃない?藍澤くんが意味もなく君に怒るとは思わないけどな」
言葉に詰まった陽翔くんはチラリと藍澤くんを見て、短くため息を溢した。
「…………分かってるよ、そのぐらい」
小さく呟いた彼は肩を落として席を立つ。
「あれ、帰っちゃうの?」
「………飯作って帰り待つ」
「そっか、そっか。いつでも惚気聞きに来てね」
「………俺、やっぱ長谷さん苦手」
「それは残念。ありがとうございましたー」
背中を見送った後はカウンター端の仏頂面バーテンダーに声を掛ける。
「君も相変わらず不器用だね。喧嘩の原因は何なんだい?」
「…………別に」
「まあ言いたくないならいいけどね。彼みたいなタイプは遠回しよりもストレートに伝えた方がいいと思うよ」
どうやら図星らしく藍澤くんも言葉に詰まった様子。
全く……似たもの同士だなぁ。
「仲直り、出来るといいね」
「……………」
【END】
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