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SS_独占欲2

僕は瞬きするのも忘れて、男性と数秒見つめ合った。 その男性がニコッ笑った途端、言われた言葉の意味を理解する。 「え……あ、え…………!?」 「口パクパクさせて魚みたい、はは」 初対面でなんて事言うんだろう、いやそれより声聞かれ……。 言いたい事は次々浮かぶのにそのどれも言葉に出来なくて、ただ開いた口が塞がらない。 「このマンション壁が薄いって訳じゃないけど、君達の寝室の隣がちょうど俺の寝室になってるんだよね。それと俺聴力いいんだ、人より少しだけ」 「あ、ぅ……」 「男の割に可愛い喘ぎだなって思ってたけど、見た目も随分可愛らしいんだね。Ω、かな?」 返す言葉が見つからないまま逸した視線。 程なくして視界の端にサンダルを履いた男性の足が見えた。 「安心してよ、俺βだから」 そんな言葉を聞いた刹那、頬を摘まれる感触がして逸してしまっていた視線を戻される。 「ふにふにで柔らかい。肌白いから真っ赤になるとすぐ分かるね」 「な、やっ、離してくださ……」 「俺、Ωの子とセックスしたことないんだけど、皆あんな感じで可愛く喘ぐものなの?興味あるな」 見下される目に酷く見覚えがある。 僕は知ってる。これは、Ωを慰み者としてみる、そんな目。 あ、どうしよう……怖い……。逃げなきゃ、家の戻って、長谷さんの所……。 「?あれ、何か急に顔色悪くなっちゃったけど、どうし――」 「――何してるの?」 男性の言葉を遮って聞こえてきた声。それは今一番聞きたかった声。姿なんて見なくても分かる。 は、長谷さん……長谷さんの声……。 「勝手に触らないでくれるかな?」 視界の横から伸びてきた手が依然として僕の頬を摘んでいる男性の腕を掴んだ。 「手、離してもらえる?」 「…………」

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