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SS_独占欲3

目に映る長谷さんの手は指先が白くなるほど強く握り込まれてる。 無言のまま睨み合っていた二人だったけれど、先に視線を外したのは男性の方で、摘まれていた頬も同時に解放してもらえた。 「はい、離したよ。だからアンタもその手離して。血ぃ止まっちゃうって」 男の言葉に一瞬更に強く握り込まれたように見えた手は離れて、すぐに長谷さんが僕の手を引いた。 油断していた僕の身体はすっぽりと長谷さんの腕の中。 気恥ずかしさもあったけれど安心の方が強くて、そっと長谷さんが着ているシャツを掴む。 「あーあ、痣になったらどうしてくれんの?顔と体は商売道具なんだけど、一応」 「ああ、そうなんだ。じゃあ殴らなかっただけ感謝してほしいな」 懐から見上げた長谷さんは一見笑ってるように思えるけど、目だけが全然笑ってない。僕でもちょっと怖いって思う……。 「そんなに怒んないでよ。ちょっと摘み食いしようとしただけだって。横取りまでしようってんじゃない、α様相手にそこまでする程馬鹿じゃないしね」 男性は僕が落としてしまっていたゴミの袋を拾い上げてエレベーターの方へと歩いて行く。 「まあ、飽きたら拾い食いぐらいはさせてね」 そんな言葉を残して男性の姿は見えなくなった。 ホッと胸を撫で下ろして、もう大丈夫ですと告げたけれど長谷さんは一向に離してくれそうにない。 「あの、長谷さん…………?」 「…………郁弥くん、出掛けるの今度でもいいかな?」 「え?はい、それは全然……」 「ごめんね」 抱きしめられたまま僕の身体は家の中へ。 長谷さんが後ろ手で鍵を閉める音がしたのと同時に、触れるだけのキスが沢山落ちてくる。 「ごめん、ごめんね。今度の休みは絶対連れて行くから」 おでこ、両瞼、鼻先や唇、摘まれた頬は特に念入りに。 長谷さんのキスは優しく触れる。 「今日はもう、誰の目にも触れさせたくない」 「……………」 そう言って肩口に顔を埋めた長谷さんがどうしようもなく可愛く思えて、思わず「よしよし」と口にしながら頭を撫でてしまった。 「…………僕、もしかして子供扱いされてる?」 「あ、すみません、つい……。子供扱いと言うか、何だか長谷さんが可愛く見えてしまって……。歳下に可愛いって言われても嫌ですよね、すみません……」 「ううん、嬉しいからもっと撫でて」 身体に回る腕が更にぎゅっと抱きついてきて、これは甘えられてるのかなって少し嬉しくなる。 可愛い。いつもは王子様みたいな人なのに。

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