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SS_独占欲6

side ××× 力任せに磨いたグラスは手元から照明の光を眩しいぐらい反射させる。 透明で傷一つない。……僕の気持ちとは裏腹に。 苛立っている。朝からずっと。その自覚はあるのに、どうやったって収まってくれない。ムカつく。イライラする。まるで、子供みたいだ。 頭から離れない朝の光景。 あの男が郁弥くんに触れた瞬間、自分でもゾッとするほど怒りが湧いた。元々独占欲は強い方だ。それに加えてあの時胸を渦巻いたのは恐らく――αの本能。 ギリギリの理性で踏み止まって郁弥くんを見送った。 俯いた頭を撫でてあげたかったけれど、一歩でも動けば男に殴りかかってしまいそうで手を引いた。 小さな背中はトボトボとエレベーターへ乗り込んで、あっという間に姿が見えなくなる。 「あーあ、いいんだ?泣きそうな顔してたけど、慰めなくてさ」 「うるさいな、君にそんな心配される必要はない」 「おー、怖っ」 「それより勝手に触るなって警告、君はもう忘れたのかな?」 男はへらへらと笑って「何の事だろう」と肩を竦めた。 「何だってそんな怒ってんの?そんなに具合いいんだ?」 「…………」 「今回のあの子、結構長いよね」 「…………」 「少し前まで取っ替え引っ替えだったくせに。アンタ見かける度に違う奴連れてたよな、男も女も」 ああ、本当イライラする。 「出来れば早く飽きてほしいな。壁越しだけど可愛い声してたし、見た目も結構タイプなんだよね」 「……………」 「捨てちゃう時でいいからさ、俺に声掛けてよ。優しく慰めてあげたいな」 この男にも、――過去の自分にも。 「顔と体は商売道具、なんだっけ?」

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