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夢魘・上(R-18)
「ゔッ……、っん……」
冷房を効かせているにも関わらず、玉のような汗をびっしりとかき、自由にならない体を無理矢理揺らす風来。
「ッ……ハッ……」
今日の夢もあの夢なのだが、いつもと違う苦痛を伴い風来は当惑していた
そもそも、始まりから違っていた。
いつもは柔らかい羽毛のような心地から快楽へと誘 われるのに、今日は金縛りから始まった。
金縛りは睡眠障害の一種と言われており、その原因の多くが、ストレスや疲労の蓄積による睡眠の質が低下することで起こる。
風来は諸富が言っていた通り、自分では分からないうちに疲れが溜まっていたのだろうと呑気に考え、苦しいながらもそのまま深い眠りにつこうとした。
ところが、深い眠りにつくため、閉じていた瞼をより強く瞑 った瞬間、あの夢の世界へ落ちたのだ。
夢の中で目を開けた風来は驚いた。
美しい君が風来を跨ぎ、無表情で見下ろしていたからだ。
言い得ぬ恐怖を感じた風来は、声を発せようと口を開いたが全く声が出ない。
"ハッハッ"っと、空気が擦れるだけ。
そんな風来を無言のまま見ていた彼は、徐 に風来の両手をベッドボードから垂れ下がっていた縄に括り付けた。
そこからは性急だった。
身体中を痛いほど噛み付かれ、特に胸の頂は噛むだけで治まらず、終始強く捻り上げられた。
散々噛み終え、気が済んだのかと思えば今度は丁寧に身体中を舐め回された。
――痛イ、デモ気持チイイ――
――気持チイイ、デモ痛イ――
その繰り返し。
快感を得ることに慣れてしまった風来は、そんな手酷い愛撫にもじわりじわりと身体が高揚していった。
「ッハ……、ッア……」
今では、直接触れられていないのに、誰が見ても分かるほど風来のモノは勃ち上がり、透明な蜜を次から次へと溢れさせている。
知らない!
こんな、こんな……。
いや、コレは俺じゃない!!
そう思うと、風来は一刻も早くこの悪夢 から覚めようと、頭を振り乱し、繋がれた両手を動かし、必死にもがいた。
「!!」
思いが通じたのか、しばらくすると、美しい君の動きがピタリと止まった。
籠る熱と抵抗した熱で息は上がっていが、これで夢が覚めると思い風来は安堵した。
呼吸を整えながらゆっくりと顔を上に向けると、そこにはやはり無表情の美しい君。
風来に妙な悪寒が走る。
嫌な予感がする。
風来は足を使って逃げようとするが、足はシーツの上を滑るだけ。
そして、ハクハクと口を動かす風来に対し、美しい君はゆっくりと首を横に振り風来の足を掴んだ。
『Nicht loslassen』
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