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第2話

「凄いな.....」  控えの間....それだってかなり広い部屋から続く板戸ふうの扉を開けると、脱衣室があり、シャワールームがある。その先は、高い黒塀で囲まれてはいたが、広々とした露天風呂になっていた。石竹や青紅葉の植え込みに小さな石灯篭、玉砂利が敷かれ片隅には小さな苔むした岩まで置かれている。 「気にいったか?内風呂だが、源泉から引いた掛け流しの風呂だ。賓客にも好評だぞ」 「本当にお前、凝り性だな....」  目を剥く俺の傍らでミハイルはさっさと全裸になると、シャワーで身を灌ぎ、腰に大きめの手拭いを巻き、二重底に耐水性のSFP9Mを仕込んだ湯桶を手に取った。 「まさか陸自から盗んできたのか?」 と軽口を叩くと 「そんなわけないだろう」 と笑った。  それにしても、この体格の差はいつ見ても凹む。生真面目に鍛練を積んでいる肉体は筋肉が張り鋼のようだ。金色の体毛がそれを包み、まさに獅子のごとき威厳を誇っている。ついでに言えば、立派すぎるモノが手拭いごしにその存在を見せつけ、俺は思わず顔を赤らめてしまう。あんなモノが入ってくるとは、やはりいまだに信じられない。 「何を見惚れてるんだ。早く来い」 .「見惚れてなんかない」  左脚にナイフをセットし、同じように手拭いを巻いて湯船に向かう....が、迫力の差は否めない。きちんと鍛えてはいても、太くならない腕、脚、薄い肩や胸....に、ちんまりとしたアレ....。思わず深く溜め息をついてしまう。  檜の香りも高い湯気の中に踏み込む。と、太い腕がするりと伸びてきて、俺の腰から手拭いを剥ぎ取った。 「何すんだよっ!」 「見せろ」  思わず身を縮こめる俺の両腕を掴んで、ミハイルが俺を湯の中に立たせた。 「綺麗だ....」  うっとりとした口調で眺められ、腰や尻を太い指になぞられ、肌が熱を帯びていく。一番恥ずかしいのは、ちょこんと座っていた俺のそれが、ヤツの刺激で何気に起き上がりつつあることだ。しかもヤツの目の間近で.....。 「止めろよ!」 と言うと、ヤツはにんまり笑って、俺のそれを突つき、掌にくるんだ。分厚い掌の熱が薄い皮膚から伝わり、腰が砕けそうになる。 「ここはそうは言ってないぞ」 「やめ...あんっ.....やる....な.....あっ」  ミハイルは俺の言葉など無視して、くにくにと指先で袋を弄んでいたが、にまっと口許を歪めると、もう片方の手で俺の腰をぐいと引き寄せると、俺のそれをぱくりと口の中に咥えてしまった。 「やっ、やだ.....ミーシャ、やめっ....あっ、ああんっ......ああああぁっ!」  ヤツの肉厚の舌に絡め取られ、しゃぶられ、吸い上げられて、俺は呆気なくヤツの口の中でイってしまった。 「美味い.....お前のは甘いな」 「そんな訳あるか、バカ....」  俺の吐き出したものを平然と飲み下し、ぺろりと舌舐めずりをするヤツに、俺は耳の先まで赤らめずにはおれなかった。ヤツは満足げに俺の頬に口付けると、ゆっくりと湯船から立ち上がり、縁に腰を掛けた。すでに腰に巻いた手拭いは完全に捲り上がり赤黒く充血したそれが暮れ始めた天を突いていた。 「ラウル......」  ミハイルの欲情に濡れた瞳と声が俺を誘い....俺は跪いて、それに口付け、口中に含んだ。唇と舌とで、念入りに味わい.....そして、ヤツの求めるままに、秘孔に迎え入れた。 「あっ....ああん.......あぅっ......ひあっ......あぁっ」  ミハイルにしがみつき、淫らに腰を揺すって啼く俺の傍らで、蝉が負けじとひときわ大きく鳴いていた。  ヤツは存分に俺の中に精を放ち、ヤツに何度も絶頂に追い上げられ、くったりと腕の中に漂っている俺の耳許で囁き、瞼に口付けを落とした。 「愛してる.....ラウル。私だけのものだ.....」  嬉しいが、身も心も熱すぎて湯当たりしそうだ.....。

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