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02b 巡航艦の操舵手候補 *

「とは言え、機長と親密な関係を結べるかどうかも重要な要素だがな。それをこれから確かめさせてもらう」  シグルズの長い指が、くすぐるようにしてイェークのシャツのボタンを外していく。 「そ、そんなの……公私混同なんじゃ」 「公私混同? 軍人に私事などあるものか」 「そんな!」  さすがに何をされるのか感じ取り、イェークはベッドの上でずり上がる。だが、シグルズの深い青の目に見られるとそれも出来なくなってしまう。金縛りにあったみたいに全身がこわばって、指一本すら動かせない。 「大人しくしていれば悪いようにはせん」  シグルズは自らの黒ネクタイを解くと、それをイェークの目元に巻き付けた。ネクタイの下で目を開けていても、周りは全く見えない。あの青い目を見ずに済むようになって、ほんの少しだけ肩の力が抜ける。しかしそれも一瞬だった。ベルトのバックルが勝手に外され、スラックスの前が寛げられる。下着の上からそこを撫でられ、イェークは喉を貼り付かせた。 「あ……いやっ……止めてくださ……」  下衣がまとめて下ろされるのを阻止しようと身を捩るが、抵抗むなしく衣服は剥ぎ取られてしまった。直にペニスという急所を掴まれ、本能的に身を竦める。そのまま形を確かめるように、あやすように刺激を与えられて、むず痒いような衝動がそこから迫り上がる。 「っ……待っ、て……こんな……!」  イェークの動揺をよそに、淫らな意図を持って触れられるとそこは徐々に立ち上がり始め、蜜さえ溢れそうになってしまう。やがていやらしい水音が聞こえてくるまでになり、イェークは恥じ入って唇を噛み締めた。  すると、突然温かく湿ったものがイェークのペニスを包み込む。ぬめった柔らかい感触が別のぴちゃぴちゃという音を奏でて、そこを舐められていることを察してしまう。 「ゃ、やぁ……っ……」  羞恥を感じて目隠しをされたまま顔を背けるが、そのまま口に含まれ、吸い付かれて、あられもない声を上げてしまいそうになるのをすんでのところで噛み殺した。  しばらく口淫でいたぶられた後、何か容器が開けられる気配があった。直後に、ペニスやそのもっと奥へ、とろりとした液体が垂らされる。それは始めは常温だったが、再びそれをしごかれ、塗り広げられるうちにじんじんと熱さが広がっていく。 「何……これ」  膝の裏を掴まれ、脚を大きく広げられる。その間へ指と液体が忍び込み、自分でも触れたことのないような場所へ温感が塗り込められていく。異物感に怯え、必死に首を振るが、次第に中までじんじんと熱を持ったようになり、そのじれったさに背筋が震えた。 「ああっ……これ、何……や、やぁ……!」  両足を広げられてのしかかられると、また恐怖が頭をもたげた。そして、最も恐れていたものが狭隘の入り口にぴたりと押し当てられる。熱を持っている亀頭が、固さを増した状態でそこへ入り込もうとしていた。そんなものを受け入れさせられたら、壊れてしまうのではないか。想像が付かない恐怖に、それまで押し留めていたものが一気に溢れ出してしまう。 「なんでっ……俺……何もしてないっ……!  管理官に逆らったことなんてないし、事故だって起こしたことない……お客さんと揉めたことだってない! これまで上手にやってきたのに? なんで……なんで?」  頭上で微かに、一呼吸置く気配がした。 「そうだな。お前は優秀だ。……だからこそ選んだ」  後ろに押し当てられたそれが、暴力的な質量を持ったままぐっと窄まりに押し付けられた。イェークは震える声で許しを請う。 「お願いっ……お願い止めて……そんな、怖いっ……出来ない……」 「力を抜いていろ、怪我をしたいか」  固く滾った熱棒が、ゆっくりと狭い後孔を押し広げていく。塗られたところが熱を帯びる液体の、その効果を上回るほどの熱さがそこに埋め込まれる。指で慣らされたとはいえ、その巨きさに襞が追いつかない。 「ぐ、っあ……! いやぁあ……っ!」 「そうだ。声を上げていろ。その方が余計な力は抜けるだろう。叫んでも誰にも聞かれることはない」  ずるりと自分の中に巨大なものが入り込み、イェークはその痛みと衝撃でシーツを引っ掻き、背中を弓なりに撓らせ悲鳴を上げた。 「あーーーっ! あぁーーーーー!」  痛い、苦しい……そう思うのに、信じられないほど深くへ熱い杭が届いた時、全く別の感覚が腹の奥から沸き上がる。 「ん、くぁ……ぁ……!」  イェークは未知の感覚に耐え切れず、前から白濁を噴き上げる。それと同じリズムで腰を捩って、後ろに咥えたものを喰い締めた。 「あ、あぅ……っ、怖い……! こんな……変……へん、に、なっちゃう……」  びくんびくんと腰が不規則に痙攣する。意図せずきゅうっとそこが締まる度に、また小さく射精してしまう。太い楔を穿たれた肉壁はそれを美味しそうに頬張り、まるで喜んで食んでいるようだ。イェークは自分の身体の変化が信じられず、ぞくりと背筋を震わせた。 「なか……熱……ぃ……」  何度も締め付けを受けていたシグルズもまた、性感に溺れているようだった。鼻にかかった息を吐き、イェークの痙攣したままの腰を抱え上げてより深い位置を探した。 「ま、まだっ」  イェークは怯えた声を漏らす。吐精の衝撃がまだ収まらず、内壁はぐずぐずに溶けきって敏感になっている。そんな状態の後孔になおも突き入れられたら、快楽を通り越してしまって辛い。けれどもシグルズの責めは止まず、全身を魚のように跳ねさせながら耐え抜くしかなかった。 「う、ぐっ……」  これ以上は腹が破れてしまうというくらいに深くまで内部を蹂躙され、次はゆっくりと引き抜かれていく。 「ぃ……っ、ぐぁ……」  内蔵ごと持っていかれそうになるほどの喪失感に、下肢が震え全身が粟立った。つま先がぎゅうっと丸まり、まるでシグルズを留めようとするかのように膝が閉じかけてしまう。入り口の襞に最も張り出した部分が差し掛かり、もう抜け落ちてしまうというところで、今度は力任せに一気に侵入される。 「ひぁあっん!」

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