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case 雪 1

 おとなしく、言う通りにして、嫌なことも恥ずかしいことも我慢していれば、褒めてもらえるし、優しくしてもらえる。  雪が知っているのはそれだけで、そしてそれで充分だと思うしかなかった。  明るい部屋で裸にされて、器具で菊門を開かれて、言われた通りに仰向けになって脚を開く。羞恥心がちりちりと心臓を焼くように胸を苦しくしたが、黙って耐えた。  目の前の男はすでに男性器を屹立させ、しかもそれは太く長かった。あんなもので蹂躙されるのかと思うと恐ろしかったが、だからといって逆らえば、もっと耐え難い仕打ちを受けるやもしれなかった。 「よーしいい子だ。怖くないからな」  傍らで別の男が言う。彼が調教師なら、雪は見せ物の獣だった。  正面の男のペニスが、雪の菊門に押し付けられる。それはゆっくりと雪を犯し始めて、その大きさに雪は喘いだ。 「どうだ、痛くないか?」  調教師が雪の額を撫でて言う。雪は震えながら頷いた。  今日まで散々拡張され、様々な淫具を挿れられ、男達に犯されてきた。雪のそこは苦痛には鈍感になり、代わりに快感に鋭敏になっていた。 「あっ……やあ……!」  亀頭を飲み込んだ勢いで、ペニスが半ばまで入ってきて、雪は思わず声を上げた。敏感な部分を擦られる感覚に、身体は悦んで飛びつこうとしていた。  その後もゆっくりと雪の様子を見ながら、男のペニスは雪を奥まで犯してしまった。奥までいっぱいにされると息が苦しかったが、それよりもこれからされることを思うと、頭は早くも正常な思考を放棄しかけていた。 「どうだ雪。どんな感じがする?」 「お……おっきいペニスで……犯されてます……」 「うん、嬉しいか?」 「恥ず……かしいです……」  ふふ、と調教師は笑った。 「雪は恥ずかしがり屋だな。今度お前がハメられて気持ちよくなってる映像を見せてやろうな」  雪は唇を噛む。こんな恥ずかしい姿を見られるのも、見るのも、考えるだけで泣きたくなった。 「よし、じゃあ、がんばって気持ちよくなるんだぞ。メスイキできたら今夜はご馳走にしてやるからな」  調教師が言うと、雪の中のペニスは菊門を出入りし始めた。雪は息を乱し、喘いで、身をよじる。すでに自分のペニスが硬くなって、涙をにじませようとしているのが見ずともわかった。 「ほら雪、素直に感じたこと言ってみろ」  調教師が手慰みのように雪の乳首をいじりながら言った。乳首もこれまでにいやというほど開発されていて、雪は高く鳴く。 「ひんっ……お、お尻犯されてっ……あっあっ奥まで何度も犯されるのつらいです……っ! 気持ちよくなるの恥ずかしい……っ!」 「そうか、そんなに気持ちいいか?」 「きっ気持ちいい……っ! ああっお尻気持ちいいのいやぁっ……!」  雪の身体は男達によってすっかり変えられてしまっていた。菊門はまるで性器のようで、男のペニスを欲して仕方なかったし、射精せずに達する身体になってしまった。男としてペニスの快感で満足できていた自分はもうどこにもいなくて、今ではペニスをいじられると菊門がうずいてたまらなかった。  けれど、心はそんな身体の変化についていけない。男に犯されるのは恥ずかしく屈辱的で、自分が女のように喘いでいる事実は受け入れがたかった。それなのに頭も身体もすぐに快感に酔ってしまって、その気持ちよさには逆らえなかった。  男は雪の脚をつかんで、容赦なくペニスを突き入れてくる。その度に高い声を上げてしまうのが恥ずかしくてならなかったが、とても声を抑えられなかった。 「いやっ……いやっああっもうやめてっ……! 犯すのやめてぇ……!」  雪は涙を浮かべて身をよじったが、調教師が満足げな顔で見下ろしているのが見えて、息を詰めて目を逸らした。  言葉とは裏腹に雪の身体は男に突かれる度に悦んでいて、ペニスから透明な液体をこぼし、絶頂に向けて熱を溜め込んでいた。もはや抵抗しているのは言葉ばかりで、身体は従順そのものだった。 「やだあっ……やだイクっ……イクからだめぇっ……!」  訴えは決して聞き入れられず、雪は男のペニスを食い締めながらびくりびくりと身体を震わせた。射精を伴わない快感は激しく、雪からすべての力を奪って、雪は震えて泣き声を上げながら男に揺さぶられ続けるしかなかった。  やがて男が射精し、責めから解放された雪がぐったりと手足を投げ出すと、調教師の男が雪の濡れた頬を軽く叩いて言った。 「メスイキできたじゃないか。ほんとにいい身体になったな。口では恥ずかしがって嫌がるのもいいぞ。そういう需要もあるからな」  雪はぼんやりと男の顔を見上げ、しかし声を出すことができなかった。悦びに未だ火照る己の身体が、切なくてならなかった。

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