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case 藍 3

 真臣は藍のなめらかな肌を撫で、その上に覆いかぶさって赤い唇に口づけた。そうしながらわざと身体を擦り付けて、欲を煽ってやると、唇を離す頃には藍の黒い瞳はもう潤んでいた。 「……どんなふうに犯されたんだい?」  訊くと、藍の瞳が揺らいで、その視線が逸れた。それ以上逃げられないように、手を絡め取って、身体にも体重をかけてやる。 「藍は俺に隠し事なんかしないだろう? 正直に言ってごらん」  藍の身体が熱を帯び、その瞳に羞恥だけではない色が浮かぶ。恥ずかしがることを言わせて、恥ずかしい行為を強要してやることは、そのまま彼の興奮に結びつくことを真臣はよく知っていた。 「……て、手首を縛られて、下着を脱がされて……その……」 「うん、それから?」 「その……足首をつかまれて、それで、お、お尻を上げさせられて……」 「とても恥ずかしい格好をさせられたんだね」  そう言ってやるだけで藍の身体は震えた。乳首が硬く尖っているのが視界に映る。 「指で……お尻の穴をたくさん……いじられて……それで……、……おちんちんで犯されました……」  最後は蚊の鳴くような声だった。目の縁には涙が溜まっている。それを愛しく眺めながら、真臣は言った。 「お尻を上げさせられたまま犯されたの? 上から突かれたのかい?」  藍は震えながら頷く。その顔はもう真っ赤だった。 「その男が射精するのと、藍がイクの、どっちが先だった?」  藍はびくりとして、怯えたような目で真臣を見上げた。その頬を真臣は優しく撫でてやる。 「藍がお尻を犯されて気持ちよくならないはずがないだろう? すぐにイッてしまったのかい?」 「す、すぐじゃない……」 「何回ぐらい突かれてイッたんだい?」 「……わかん……ない……」  藍は泣きそうな声でそう言った。真臣は微笑んで、ヘッドボードの上のティッシュケースに手を伸ばす。  その中から真臣がボイスレコーダーを取り出したのを見て、藍は目を見張った。 「気付かなかった? 藍を犯した男が置いていったんだよ?」  言葉もない藍に微笑みながら、真臣はレコーダーを操作する。  再生ボタンを押して、シーツの上に置くと、言い争うような声と衣ずれの音が聞こえた。何を言っているのかわからなかったが、藍が抵抗しているようだった。  真臣は音声を早送りし、そして音量を上げた。 『あっああっあっ……いやっ……ああっ』  それは間違いなく藍の濡れた喘ぎだった。藍は聞くことを拒むように身を引こうとしたが、真臣は藍を抱き寄せて腕の中から逃げられないようにする。 『ケツに指入れられたとたんおとなしくなって、そんなにここが好きなのか?』 『やっ……! あっあっ……』 『こんなにトロマンになっちまって、そりゃ彼氏だけじゃ満足できねぇよな』 『違っ……あっやあん……!』 『そんなに嫌がってみせなくても、彼氏公認なんだろうが。ほら、ちんぽが欲しいんだろ?』  男の声に続いてベッドがきしみ、ややあって藍の悲鳴が上がった。 『あああぁんっやだぁああっ……!』 『あー中もやらしいな……。そんなに欲しがらなくてもちゃんと犯してやるって……』  ギシギシとベッドが鳴り始めると、藍はたまらない声で鳴き始めた。 『あーっ! あっあっあっやめっ……やめて、だめぇっ!』  水音の混じった、パンパンと肌を打ちつける音が響き始める。そして藍のひときわ切ない悲鳴が聞こえたのはそのすぐ後だった。  真臣はレコーダーを止め、震えている恋人の耳に唇を当てた。 「……藍のイクときの声は、いつ聞いても本当に可愛いね」  藍はふるふると首を振る。その頬に涙がこぼれた。 「泣かなくていいんだよ。突かれ始めてすぐイッちゃったのがそんなにそんなに恥ずかしかった?」 「ご、ごめんなさ…………」 「イッた後も突かれ続けたんだろう? きっと藍のたまらない声がたくさん録れてる。また今度二人で聴こう」  いや、と藍は声にならない声で言った。その声や言葉とは裏腹に、藍の身体は興奮しきっている。すでに今夜絶頂を経た身体であるのに、真臣を欲しがって熱のやり場に困っていた。 「……仕方ないね、藍はとてもいやらしい子だから、俺もちゃんと叱ってやろうな」  そう言って藍のこめかみに口づけて、その脚を割り開いてやると、藍の涙に濡れた目が真臣を見上げてきた。 「俺に犯されるのは嬉しいだろう?」  優しい声で言ってやると、藍は唇をわななかせて、それからこくりと頷いた。

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