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日誌・17 見せつけるように(R18)

収まらない混乱の中、秀の指先が。 雪虎の、…下の生え際に触れた。 布の下に隠れて、目では見えない。ただ、触れられる感触は生々しい。 気付けば、緊張に息が浅くなっていた。 秀は、ざらり、指先で丹念に確認するように撫でおろし、―――――そして。 とうとう、触れられた。 指が這う感覚に、思わず雪虎は前のめりになる。同時に、腿をぎゅっと打ち付け合ってしまった。 結果、秀の手を強く挟み込み、締め上げてしまう。 「く…っ」 秀の動きを引き留めたい衝動を抑えるため、雪虎は掌の下にあるものを咄嗟に掴んだ。 それが秀の膝だと目の端で確認するなり、 「…ああ、おとなになっているね」 秀は、感慨深く呟いて。 雪虎が、内腿で左右から締め上げた力などものともせずに、彼の性器を確かめるように握りこんだ。同時に。 秀の吐息、に―――――笑いが混じった気がする。 それは、…嘲りや罵り、そういった負の感情、ではなくて。 しかし、そこにこもった感情を雪虎が見定める寸前。 前のめりになることで、秀へ強く押し付ける格好になった雪虎の尻に。 ―――――なにか、固い感触、が。 「…かいちょ、」 目を瞠った雪虎が言いさした、刹那。 「あっ、…ぁ!」 雪虎の下腹部が緊張に戦慄く。その背が弓なりに沿った。 寸前までの慎重さはどこへやら、秀が思い切り強く雪虎の性器を扱き上げたからだ。 仰け反った雪虎の後頭部が、秀の左肩に押し付けられた。 乱暴に扱きたてる動きに、雪虎は無意識に頭を横に振る。 そのたびに、後頭部が秀の肩口に擦り付けられた。 「ま、待…っ」 慌てて伸ばした手で秀の腕を掴むが、力がうまく入らない。とたん。 秀の指先がいたずらに、雪虎の先端を、引っかいた。息が弾む。 やばい、と雪虎の脳裏で警鐘が鳴った。 元来、雪虎は性欲が強いのだ。その上で、ここのところろくに自慰などしていない。そんな余裕はなかった。 そこに―――――これだ。 ひとたまりもなかった。快感に素直に、性器は反応した。 ばさり、布が落ちる音に目を向ければ。いつの間にか、足からジーンズが引き抜かれていた。 一旦秀の手が、雪虎自身から離れる。ホッと息つく間もない。 「え、」 背後から、秀の手が雪虎の裸の膝裏を持ち上げる。 それを、秀の膝に引っかけた。 改めて言えば、秀は足の間に雪虎を座らせており、その分膝を開いている。 もとより膝を開いている秀より、雪虎はさらに足を開かされる格好になるわけで。 つまり、今、雪虎は。 恥ずかしげもなく、大きく足を開いている状態だ。 確かに、雪虎とて誰かにこういう格好をさせたいと思ったことはあるし、実際にやったこともある。だが。 (したいと思ったことはない、断じて) あまりの格好に、呆然となった耳元で、秀の冷静な囁き。 「勃って、いるな。まだ明るいから、よく見える」 雪虎は何一つ隠せていないのだ。見ればわかる。 心の中では悪態をついたのに。 秀に、指摘されるなり。 雪虎の先端が、雫を結んだ。 それが、つ、と幹を伝い落ちる。 これではまるで、視線まで心地いいと言っているようだ。 「くそ…!」 雪虎は弱く毒づいた。 なんて、快楽に弱い身体だろう。 せめてもう少しこらえ性を持て、と思う端から、とく、とく、と先走りが溢れる。 その、光景に、…どう感じたか。 秀が、極まったような抑えた息を吐きだした。その、甘さと熱さに。 羞恥か怒りか、すべてがごちゃ混ぜになったような感覚で、雪虎の頭に血が上る。 「俺のは、参考に、なりますかね…っ」 ちなみにアンタはどうなってんだ、と言いさし。 視線を前方に固定した雪虎は、目を瞠った。 ここで、ようやく気付いたことがある。 ソファは離れの奥にあり、秀はその奥の窓を背に座っている。 そして実のところ離れの間取りは、トイレやバスルーム、寝室こそ壁で区切られているが、他は仕切りなど一切ない。つまり。 二人の状態は、玄関を開ければ丸見えなわけだ。 「―――――会長!」 たまらず、雪虎は震える手で自分のシャツの裾を引っ張った。 丸見えのソコを、少しでも隠そうと。 「誰かが、入って、きたら」 もっと強く言いたいのに、早、快感が神経に回り始めているのか、呂律が怪しい。 これでは、何かをねだっているようだ。 「安心しなさい」 何かを急くようなもどかしい動きで、雪虎のこめかみに唇を押し付け、秀は言った。 「しばらく、誰も来ない」 彼の息が、微かに上がり始めている。そのことに、雪虎が気付いた時。 膝から離れた秀の手が、ふと、雪虎の身体以外に伸びた。何かと思えば。 「あ」 雪虎が、まだしっかりと片手で握りしめていたものを、秀は取り上げる。 ―――――潤滑ゼリーだ。 「…これを、使うのだったね」 蓋を開けるのに、雪虎は首を横に振った。 「いや違う…っ、俺には必要な」 い、と最後まで言い切ることはできない。 寸前で、秀は中身を掌に大量ぶちまけていた。 なんで、そこで雑になる? 秀がするにしては、あまりに予想外の行いに、いっとき呆気にとられる雪虎。 なんにしろ、すぐ我に返った。 あまりの量に、慌てて雪虎は近くで引っかかっていたバスタオルを取り上げる。 「な…にやってんですか、それじゃ会長の着物やソファが汚れ…」 「しー…」 静かに、と促す声に、一度、雪虎は動きを止めた。その隙に。 秀の、大きな両手が。 雪虎の内腿を、膝のあたりから足の付け根まで、ゆっくり撫でおろす。やんわりと、肉をもみ込むように手指を動かしながら。 「ぅ…くっ」 雪虎はわずかに喘いだ。 まだ触れられてもいないのに、根元から搾り上げられるように、また体液が雪虎の先端から溢れ、伝い落ちる。 中心で、さらなる刺激を待ち焦がれ、 「トラ」 泣いて泣いて止まらないソコに、 「私の手で、達するところを見せてほしい」 また、秀の手が触れた。 ぬるり、とした感覚が、性器をなぞり上げる。 それこそ、また強い刺激が来るかと息を詰めたのに。 先ほど内腿をもんだのと同じ動きで、やんわりと、輪郭を確かめるような、小動物でも可愛がろうとするように、ゆるく揉まれた。 片方の手では、袋を転がされて。 ―――――もう、それだけで、とどめになった。 「ふっ、…くぅ…っ」 一瞬、耐えようと、して。 ここまできて、それはもう無駄な努力だな、と。 波が来るままに、雪虎は放った。 自然と腰が浮く。 ソコは、痙攣するように跳ねて。 その間にも、秀の手は離れない。 うねるような絶頂の波が続き、雪虎の尻が淫猥に動く。刹那。 泣くような息を吐いて、見せつけるように射精していた。

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