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08
返信を終えスマホをポケットにしまう。
ハルを見つめてそんじゃどうする? と首をかしげると、ハルはニシシ、といたずらっけのある顔を見せつけた。
「じゃあさ、じゃあさ、宅飲みしよーぜ?」
なにを言い出すかと思えば。
そのぐらいいつものことなのに、上機嫌だからかハルは楽しげだ。
まあ、ハルが楽しいならいいけど。
軽く頷いた俺を見ると、ハルは嬉しそうに抱きついてきた。
◇ ◇ ◇
「お邪魔しまーす」
「お邪魔されまーす」
コンビニで買い込んだ酒やらつまみやらの入った袋をガサガサと鳴らして、騒がしく帰宅する。
買ってきた服を寝室に放り投げてどかし、ローテーブルの上にコンビニの袋を置いて、少ししびれた両手をぶらぶらと振った。
「相変わらずインテリア少ねぇ部屋だな。一応生活感はあるけど」
「そりゃ住んでっからね」
ハルは入ってくるなり人の部屋をディスる。失礼なやつだなほんと。
ドサッ、と部屋の主より先にソファーに座ったハルは、早速袋を漁って、新発売のチューハイの缶に手をつけ始めた。
流石酒豪のハルさん。
ザルを通り越して枠のハルは酒が大好きで、いくら飲んでも全く酔わないのだ。
それを横目で見て呆れつつ、なんかあったっけ、と冷蔵庫をカパッと開ける。
と。
「うっひ、まじか。タイミングよすぎじゃん」
「ん? なに?」
今朝はなかったはずのホーローのタッパーをいくつか見つけて、数個抱えてからハルのもとへ向かう。
机に並べると、ガタン、ゴトン、と重量感のある音が鳴った。
端から、牛しぐれ煮、ほうれん草のおひたし、鮭の南蛮漬け、プチトマトのピクルス、手作りチャーシュー。
そして。
「じゃーん。ポテサラ~」
「ぶっ、まじかよ。なんであんだ」
これみよがしにポテサラのタッパーだけわざわざ蓋を開けてやると、ようやく意味がわかったハルが吹き出した。
この季節外れのサンタクロースは、もちろん今朝までこの部屋にいたショーゴだ。
俺は一人だとめんどうがってろくな食べ物を食べないことを、ショーゴはそれじゃいけないと言った。
一応サプリとかで栄養は取ってる。
そう言うと以来、ショーゴはかいがいしく暇がある時に少しばかり作りおきを持ってきて、冷蔵庫に置いていく。
いらなければ食べなくていい、と本人は言うが、食べるとこそこそと喜んでいるのは、俺の知るところだ。
いそいそと箸を取り出して、ショーゴお手製ポテサラの玉ねぎをつまんで食べる。
「お、うま。辛くない。しなしなじゃない。ベスト玉ねぎ。ショーゴちゃんまじイイコじゃん」
「ショーゴって、咲のセフレ?」
「そそ。俺飯食わねーから、たまに勝手に置いていくんだわ。俺のオトモダチの中でいっちゃん俺好みの飯作るんだよなー」
「フーン。ちな、こないだ作った俺のチャーハンとどっちうまかったんだ?」
「ショーゴのチャーハン」
「え、すっげムカつくんですけど」
ちょっとは気ぃつかえや、とヘッドロックをかけてきたから、ガキみてぇ、と笑うと頭を叩かれた。ひっでー。
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