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 しかし待てよ。  そいや、あいつがいた。 「チビならどう? 俺とおんなじくらい貞操観念ゆるゆるのクソビッチだからケツ挿れやすいしあと腐れないし、慣れてるよ」 「咲とおんなじくらい? マジやべーな」 「失礼だなお前は。あ、チビって別にちっさくねーから。あだ名ね。ヨウジって言うから、幼児。んで、チビ」 「まぎわらしーな」 「噛むなし」  噛んだのを指摘されて恥ずかしいのを酒を飲んでごまかすハルが、アホっぽい。  チビは、見た目だけなら純朴系のうぶそうなスポーツ男子だ。  高校の時の後輩で、なにを気に入ったのかしんねーけど俺になついてよく後をついてきていた。  あとで聞くところによると、単純に好みドストライクだったから狙っていただけらしい。  そう言った根っからのゲイでバリネコのチビは、爽やかにはははと笑っていた。  俺の男のセフレの中で、唯一普通のセフレ。セックス以外で会わねぇ。  最近は彼氏できたのか連絡来ねぇな。 「つかもう咲がヤらせてくれりゃあいーだろ? お前ならたぶんイケるぜ、俺」 「やだよ。俺ケツほとんど感じねえもん」 「したことあんの?」 「そりゃ俺様は好奇心キングっすから」 「さっすがエロエロ大魔王」 「え。なんで魔王よ」 「いやエロエロを否定しろし」  エロいのは事実だからまあいいよ。  でも大魔王はノーサンキュー。  俺優しいだろ? と真顔で言うと、冗談は顔だけにしろと言われた。こんなイケメン捕まえてひでえやつ。これ笑うとこな。  ケツは構造上全くというわけではないが、やはり素質がある。  俺はそれがほぼ皆無。  一緒に前を弄られたら多少は感じるが、違和感と過去の記憶で非常に萎えるため、かなり頑張らないとイケない。  そう説明してやれば、ハルは俺処女だからわかんねー、とケタケタ笑う。 「じゃあいっそ掘られたらいんじゃね? ケツ開いてバックバージン貰ってくださいってお願いしたら抱いてやるよ」 「マジクソ勘弁」  素敵な提案だが、却下された。  せっかくのイケメンがゲロ吐きそうな顔になって、俺としても非常に残念。  結局「男は別にいーわ」と投げたハルは、赤ワインをボトルごと飲み始めた。  まだ三十分も経ってねえんだけど。  化け物かよ。 「つか、咲全然飲んでねえじゃん。別に自分ちなんだから、セーブしなくていいだろ?」  マッコリをちびちびやっていた俺に、ハルは不満そうに焼酎の瓶をつき出した。  いやいや、お前のペースがおかしいんだよ。そう指摘しても、ハルは普通だろ、と素知らぬ顔をして認めない。  俺だって結構飲みに行くことはあるけれど、記憶が飛ばないようにいつもセーブしてる。  少し眠くなってきたらリミットだ。  寝落ちしてしまうとそこから先の行動全部忘れてしまうので、後々が面倒。  それを知っているから、ハルは二人で飲む時は好きなだけ飲めよといつもしこたま付き合わされる。  おかげでハルと宅飲みすると、いつも記憶がなくなった。  気がついたら次の日になる。  それで苦情を言われたことがないから、別にいーけど。  まあいっか、と瓶を受け取って、コップに中身をなみなみつぐ。 「全裸とかになり出したら止めろよ?」 「ビデオ撮っとくわ」 「犯すぞ」

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