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「しゃーない、ひとり遊びすっかぁー」 「ぁッ……ごほっ…ぃ、が……ッ」  解放の余韻でピクピク震えるタツキの中から、十センチほど埋まっていた腕をズルルルッ、と一気に引き抜く。  ぐぼっ、とエグい音がした。  肉の抵抗でなかなかするりとは行かなかったが、タツキの苦痛と引き換えに、無事俺の腕は外へ産み落とされる。  おぎゃー。うぅん、次やる時はもちっと筋肉つけて太くしとくかね。  ローションと腸液にまみれてヌラヌラと光る腕。それとタツキとの間に透明な糸が幾重にも引いてたゆみ、プツンと切れる。  大きな異物を排出したタツキのアナルはくぱくぱと物欲しそうに呼吸に合わせて戦慄き、上手く閉じきらない。  丁寧に時間と回数を重ねて拡張されたおかげで血が出ることはなかったが、ぽっかりと開いたままヒクついて、捲れあがった粘膜が真っ赤に充血して覗いていた。  当たり前っちゃ当たり前。  内臓に他人の腕突っ込まれちゃね。  本人も体も変態のクソビッチ。  俺が遊びでタツキを調教するものだから、タツキはキスだけでその気になって勃てるような、ド淫乱になってしまった。  まぁタツキが俺の他にセフレがいるかとか、詳しくは知んねーけど。  でも俺が乱交ヤろーって言っても断んねーし誰とでも寝るよ、コイツ。  俺はケツの素質ねーから全くよさみはわかんねぇけどさ。  挿れるほうが悦くね? 知らんけど。 「タツキのかわいいとこはノリが俺と合うとこだけど、タツキの面白いとこはどこ触っても感じるとこ」  俺の手がマタタビなニャンコちゃん。  十割くだらないことを考えながら、鼻歌交じりに淡々と作業をこなした。  淫猥な体液で汚れた腕をシャワーで洗い流してキレイにして、タツキの湿った身体を気合を入れて抱きかかえる。 「よっ」 「……ぅ…あ……」 「バチクソ重てぇし服濡れる。キモい」  百八十五センチだっけ。  昔は喧嘩ばっかしてたし筋肉だるおも。マジでコイツ今だけ手足ちぎれてくんねえかなー。  濡れた服の不快感に眉間にシワを寄せて目つきを悪くするが、タツキを放り投げてやろうという気にはならなかった。  たくさんいじめたから、コイツ今日ちょっとトリップしてるかんね。飴もあげるぜ。  寝てる間に調教してあげる。  好きでしょ? だからお詫びにさ。  めちゃくちゃに躾て適当に性感帯を仕立て上げるのだ。さっき少しやったけど。  意識がなくても尻にモノ挿れられたらイキ狂う変態にしてあげよう。  すでに手遅れだし、完全に刷り込んで後戻りできなくしてあげちゃう。うひひ。  タツキのマトモに戻る退路を、一つ一つ壊してやんよ。  泣いて喜ぶぞ〜。にゃおん。  バスルームのドアをあけっぱなしにして、タツキを横抱きに抱えたまま、寝室へと向かう。  デザイナーズマンションの高層階。  そこからの夜景が一望できる壁一面が窓になったシックな寝室。  黒を基調としたキングサイズのベッドに、そっとタツキをおろしてやった。 「ン……」  ふかふかのシーツが人型に沈み、過激に火照らされた熱を持て余してしっとりと濡れそぼる身体が、力なく横たわる。  切なげに歪んでいたタツキの表情が、ほんの少し和らいだような気がした。  目尻が震えたが、起きる気配はない。 「アハッ、なーに割と疲れてたの? 忙しーもんねトップアーティストさんとやらは。なのにフィストファックいいよって言ったのお前。バカじゃね? ククッ」 「ん……さ、き……咲……」 「俺の夢見てんの? 夢の中は幸せにしてくれっといーね、俺」  甘えた声で寝言を言う。  下肢はドロドロと粘液に塗れている有様なのに、顔はあどけない子猫のような寝顔をしてあるのだ。  ウケるわ。ほんと。  優しさ担当は夢の中の俺に任せとこ。

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