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15※
「ぁ…は……ぁっ……ぁっ……」
ワイルド系の色男が、しどけなく開いた唇から吐息じみた甘い声をあげて薄紅色に火照り汗ばむ肉体を震わせながら、自分の腹に精液を散らして幸せそうに淫蕩する光景。
を、見ても俺の息子さんはてんで興奮しない。
ので、物理的に刺激してもらうしかないわけですが、このガバガバ野郎、起きる気配なし。
達したあとも中を擦るたびにビクビクと波打つタツキの腹筋の凹凸を白濁液が伝い、黒いシーツに白いシミを作る。
寝ながらイケるとか器用でいいネ。
俺は丸一日こうやって出入りしててもたぶんもうイケねぇわ。
「ん〜……飽きた」
「っぁ……」
抱えていた足を雑に捨てて、ズポッ、と挿れていたモノを引き抜いた。
濡れた肉茎を機械的に扱き、タツキの顔にぶっかける。
失神したままバグらされて自分の精液と俺の精液のはけ口として汚されたタツキは、傍目に見ると哀れな被害者だ。
ティッシュで股間を清めて服装を整える。俺はもういいや。動くのめんどくせぇ。
まー正直今日は暇つぶしの女と何回かシてるし、流石の俺でも、実のところあんま溜まってない。
でもつまんねーから調教しつつ、その模様を撮影会することにしよう。
「お、あったあった」
タツキが俺と遊ぶ時用に置いているアダルトグッズをウォークインクローゼットの奥から引っ張り出して、ベッドに置いた。
俺が用意したやつも置いてるから、かなり量がある。カオス。その中から目的のものを発見して手に取る。
ちょっと珍しいオモチャ。
偽卵ちゃん。そのまんま偽の卵。
一見するとピンポン玉くらいの白い卵だが、ゴムボール程度の硬さがある。
体温でゆっくりと溶けるので奥に残っても問題ないし体にも無害。高価な遊びよ。
バリバリと包装を剥がしたそれを、タツキの中へ一つずつ詰め込んでいく。
白く丸い卵を熟れた肉穴に押しつけると、グプ、と入り口が拡がってヌルンと簡単に呑み込んだ。それを何度も繰り返してタツキの中を満たす。
ただの作業だし適当に入るだけ押し込めば、ふやけたそこは無防備にゴクゴクと卵を呑み込んでいく。
十個は超えたかな。
下腹部を強く押すと、筋肉の向こう側に凹凸のついた歪な感触があった。
なだらかに丘を作る卵を孕んだ腹を眺めて、最後にプラグで蓋をする。
「ハッピーエンドにしてやるって言ったろ? タツキ」
有言実行、やる男咲野。
ってのは今考えた。
このあとの展開と言えば──意識がないのをいいことに腹の中に散々卵を詰め込まれたまま寝こけるタツキの全身を愉快に弄んで、乳首にクリップつけて潮まで吹かさせた。
よく見えるようにM字開脚させて真っ赤な縄で手足を縛り、トン、トン、と卵を産み落とす様子をタツキのスマホで録画する。
俺の前で寝るのが悪い。
つまんねーと面白くしちゃうから。
あとは「激萎えのお前にオカズプレゼント」と添えて太陽に動画を送りつけてから、全身ドロドロで気絶中の悲惨なタツキを放置してさっさと帰った。
そして後日、泣きながら動画を送ったことをポカポカと軽く叩いて責めるタツキに、腹を抱えて爆笑する俺であった。
俺、そのうち殺されっかもしんねーな。
タツキ大好きなあいつらに。ウシシ。
──でも、タツキの連絡先消して金輪際合わねーってやつ……少しも嘘はないし、俺は本気だったから。
あの時泣きつかれなければタツキを綺麗さっぱり捨ててたってのは、内緒。
タツキは喧嘩と歌しか取り柄のない馬鹿だから俺みたいなんに引っかかんだよ。
ただ初めて、タツキの歌を、タツキの声を、好きだと言ったのが俺だってだけで、刷り込みでついて回るヒヨコ野郎。
試しているのかもしれない。
俺は、どのくらい無茶な要求を強いればもう懲り懲りだと言わせられるのか。
あぁ、やっぱりこいつもカワイソウ。
綺麗で無垢なガラス玉をすり砕いて砂にしたら、それはそれで、綺麗だぜ。
第三話 了
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