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告白ごっこはもういいって言うのに、一人だけ他の遊びを知らないみたいに学習せず同じことをピーチク囀る。しつこい。マジで鬱陶しい。笑い飛ばすのもめんどくさかった。
だってショーゴは、俺がわからない。
一番マトモだから、俺がわからない。
その言葉によって俺が心底不快になり、全てに疲弊し、不信感に拘束されるシステムを、ショーゴは理解できない。
俺のことがわかるやつらは、つまりちょっと壊れ気味。
でもショーゴは俺がわからない。
俺がショーゴをわからないのだから、当然のように俺がわからない。
気分としては墓前で語られる死者だ。
そんなに泣いても生き返れないんだから話しかけんな。煩いだけで飽きてもくる。
不可思議な感情に囚われて倦怠感を覚えるから、そういう冗談言われると報復を兼ねて虐めたくなる。だからショーゴは俺が怖い。
ショーゴは俺を憎んでいるんじゃないか、というのが有力な説。
それくらい、俺は他人に愛を告げられると頭蓋が割れそうで白くなる。
なのに俺のそばにいる遊びをやめないもんだから、俺はいつか、解剖したかった。
ショーゴも、タツキも、キョースケも、アヤヒサも、みんな解剖して理解しなければ、俺の首は傾げ続けて折れるに違いない。
そう思っていた。
「もういらない」
紫色の唇で紡いでみると、なるほど、なんともしっくりときた。
昔のお気に入りにも言われたことがある。
咲は酷い人。人間のなりそこない。人の気持ちがわからない。気持ちも感情も、あなたの言葉や行動にはなに一つない。心と熱がないから。あなたといると駄目になる。
だからもう、いらない。
俺はその時も笑っていた。
取り立てて感じることはなく、連絡帳からそのお気に入りを消した。
逆もある。好きだと言われた。「なにそれギャグ? クソつまんねぇ」と言って笑ったら、死にそうな顔で泣かれた。
酷い。理解できない。最低よ。
なんでそんなこと言えるの? 私を愛していたんじゃないの? 愛していないなら好きでもない女にどうしてここまでできるの? 悪趣味なジョークは大嫌い。
気に障ったなら謝ってよかった。
けどしつこくなじられたから面倒になって、俺は部屋を出て相手を消した。
愛していると言ったことはないのに平手で殴られたし、妙に疲れた話だ。
俺はその時だって笑っていた。
だって本気でギャグだと思ったんだもん。
捨てて捨てられて、繰り返しの関係。
いつもと同じ。俺が選んだ俺の道。袖振りあった他人を切り裂きスキップしながら進む道。
俺の手元にはいつだってなにもない。
「正気に戻ってよかったな、ショーゴちゃん」
今日もやっぱり、いつも通りの笑顔だ。
──むかしむかしのお話。
理由は忘れたけど、自分でも気づかないうちに、俺は自分を見限った。
自業自得で荒唐無稽。
他人から見れば児戯にも等しい独りよがりのオンボロ舞台。
その舞台じゃあ踊り方も魅せ方も知らない壊れた人形が、遊ぼう、誰か遊ぼう、とヒビ割れの張りついた笑みを浮かべて、自分勝手に狂ったダンスを披露する。
観客なんて誰もいない。
誰も人形を見ていない。
劇場ごと朽ちていく。
それでもやめない。
それが人形だから。
廃棄処分を待つだけだと理解していても、そうあれと決まっていたから。
それ以外は知らないから。
誰か遊ぼう。俺と遊ぼう。
あぁ、バカみたいだ。
誰も要らない。俺なんか誰も。俺すらも。
こんなに笑っているのに。
こんなに踊っているのに。
「だってお前は、ゴミクズだから」
答えに気がついた時、俺は無人の舞台で依然変わりなく踊りながら、幕が降りるまで、目を閉じることにした。
悲劇でもなんでもない。
壊されなかっただけもうけものの同情に値しない舞台と役者にストーリーで、ただ目を閉じた。それだけの話。
客席は、目に入らない。
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