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15(side翔瑚)※
「お願い、たつき……っ」
「いやだ、いや、ァ……っ」
乱れた呼吸で腰を打ち付けながら、お互いに泣きそうな声で言い合う。
結合部から伝う体液で後ろまでグチャグチャだ。ヒク、ヒク、と触りもしていないア✕ルが無意識に収斂するが、仰向けに寝そべる俺では手すら届かない。
咲なら塗りつけて抉るのに。
ローションがないなら俺から搾って、雑に拡げて、ギチギチ捩じ込む。
「ぅ……っく、ぅ」
咲を想像すると、足りないんだ。
突くより突かれたい。
注ぐより注がれたい。
咲は嫌がってもやめてくれない。
俺が口答えすると顎を掴んで「黙れ?」と言う。両腕が自由だなんて有り得ない。
泣いてオネダリすると髪を掴んで目玉を舐めるし、うるさいという理由だけでひと言ごとにビンタして、抵抗すると口に拳を突っ込んで「噛みちぎってみてよ」と笑顔で推奨する。
そんな咲には、強引で常識外れなセックスで征服されたくなるだろう?
「ンッ…あ……ッ?」
俺はガクガクと震える腕に渾身の力をこめて、好きなように律動し喘ぐ蛇月の腰をガシッと掴む。
そしてそのままグルンッと体勢を入れ替え、ベッドに押し倒してやった。
「ぁん、ッん……! しょうご、こら……っんん、はぁ……っ」
「は、うるさい……俺だって、咲以外には従順な男じゃあないぞ……?」
「このォ……ッ、子犬なら最後まで子犬でいろよ翔瑚ォ……!」
自分より大きな仔猫を素早く押さえ込み、挿れていたものをずるッ、と引き抜いて鼻で笑ってやる。
噛みつきそうな勢いで睨みつけられるが、ちっとも怖くない。
勝てそうになかった猛獣は、今や発情した顔で尻に突っ込まれてイキたいイキたいとみゅうみゅう鳴きながらオネダリするただのメス猫だ。イク寸前でお預けの猫。
「うぅぁぁ……っなァ翔瑚、咲と穴兄弟なのに、嬉しくねェの? オレの中、きもちぃだロ……? オレの中にいっぱい、出していいから、な、な」
物欲しげな目で俺を見上げる蛇月。
イキそびれたから早く続きが欲しい。
そう甘えているのはわかっているが、俺は応えずに先走りと唾液をたっぷり絡めてヌメッた指を後ろにまわし、蛇月の腰を足で固定したままグチュグチュと入り口を解す。
咲は飽き性だからな。
じっくり解してくれないんだ。
なのに中のしこりを戯れに挟んで揉んで突き上げてチュクチュク擦る。
自分でしてもうまくできないから、咲はいつも笑って「トロいんだよ、ショーゴ」と俺の腰を抱き、未熟な尻穴へ凶器に等しい怒張を突き立てた。
もちろんキツくて痛いのだが、同時に快感で痺れてしまう。ちょうどこのくらい。
「はっ……咲、下手くそでごめん……っでも俺、頑張って拡げたから……咲のが入るようにしたから、俺に、挿れてくれ……」
「ズルい、っ……なぁ、かわれよ、なぁ……っしょうごぉ……っ」
「いやだ……ッふ、咲……っ痛くてもすぐ、慣れるぞ……中で咲のカタチを覚えているんだ……咲に抱かれるんだって、考えて、っ……っふ、ぁ……っ」
咲の部屋で咲の匂いに包まれて蛇月を咲に見立てて、死ぬほど興奮した。
ぐぱ、と入り口を拡げる。
咲を呑み込むにはまだまだ狭い。
だけど、うまく呑み込んで動けば咲は俺を褒めてくれる。下手くそばかり言われる。上手だね、と撫でられたい。
俺は俺を傷つけない咲の亡霊を生み出して足を開き、蛇月の濡れた肉の先端をクチュ……と秘部にあてがった。
不貞腐れて眉を八の字にする蛇月を見下ろし、唇を舐めてニヤリと笑みを浮かべる。
「ほら、嬉しくないのか……? 蛇月も、今から……咲の穴兄弟になれるんだぞ」
俺は犬だと揶揄されるが、咲以外なら強気に振り回す蛇月は、甘えたな猫だろう。
蛇月はたぶんマゾなんだろうな、と咲から送られてきたメッセージを思い出しながら、俺はふふんと笑ってやった。
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