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「ルールせつめぇ」  タツキのそばで無造作に放置されていた革ベルトを指先ですくい上げ、優しいカオを心がけて、にっこりスマイルを贈ってやる。 「軽く、二人でシックスナインでもしてみ? 我慢できたほうをとびきり優しく抱いてあげちゃう。早漏チャンはベルトで情熱的にブチのめしてやるよ。ハズレなしの両方ご褒美だろ? サキくんやーさしーねー」  ね?  小首を傾げて、革ベルトにチュ、と恭しく唇を寄せる。  嘘じゃない。だってベルトなんかじゃ大して傷はつかないからすげー優しいじゃん。  胸に真っ赤なリボンを巻くだけ。  ヒリヒリと痛む肌には氷を滑らせて、乳首を冷やして勃起させる。  セーフティーピンをモチーフにした重たいゴールドの俺のピアス。  アルコールに漬けたピアスで、ズブリと、乳首のヴァージンを散らすのだ。 「負けたかたっぽを吊ってプレゼントまであげて太っ腹だよな。媚薬ローション詰めてディルドで蓋して放置するよ。放置したソレの前で、勝ったかたっぽはベッドで抱く。ピッタリ抱き合いながらベロチューすんの。息の根止めるからね。で、前も後ろも脳ミソ溶けるくらいイキ狂わせてアゲル」  パン、とベルトを鳴らす。  ありゃ。  怒ってないって言っているのに。  俺が話せば話すほど顔色を悪くして、なにをどうして引き攣った表情をしているのやら。このノロマ共は。  俺はもうこの唇から言葉を伝えたんだから理解したならすぐに動けよ。  そういうつまんねえ焦らしプレイはいらねぇな。  ついうっかり、一瞬表情を表に出す労力を惜しんでしまうと、弾丸のようにタツキがショーゴを押し倒して、ショーゴはシャツのボタンを外し始めた。  コンビプレー。あはは。  楽しませてくれよ。  ──後日。この話をキョースケにすると、キョースケは頭を抱えて俺にへなちょこなチョップを見舞った。 「どこからツッコんでやればいいのかわかんないけど……取り敢えず思いついたことをすぐ実行するのは、やめてあげろよ」 「ふーん」 「い゛ぎ……っ!?」  苦々しい声で進言するキョースケの耳を、隣で横になっていた俺はなんとなく力いっぱい引っ張る。  恐ろしいほど俺にダメージのないチョップだけど、指を食いちぎりたくなったんだよね。でも思いつきを実行するなと言われたから妥協して耳。  もぎる気で引っ張ると、低く呻いて目じりに涙を滲ませるキョースケ。  パッと手を離す。  解放されたキョースケは、いたわしそうに自分の耳をさすった。 「いッ、てー……っ」 「キョースケ、怒る?」 「ぅ、え? いや、咲にされたらこのくらいじゃ怒らないけど……でもあんまし強くやんないではほしい、かな……?」  赤くなった耳に爪を立てて、すす、となぞる程度に掠る。  問いかけの意味を理解していない答えに、喉を鳴らして笑った。  やっぱキョースケも、ドMじゃんね。 「蛇月くんと翔瑚くんに自分の部屋で遊ばれて、結局、咲はホントは怒ってたのか?」 「ぜ〜んぜん。3Pする気なかったのに勝負させたくなったから、気分変えられた責任取ってもらったダケ」 「……。……わかりにくい……!」 「どこが? こんなにドノーマルなのに」  甘話 了

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