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17※微

 あ、忘れてた。  うっかりしていたことに気づいた頃には、ゆうに三日は経っていたのだ。  きっかけは、流れで知り合った奴らと花火大会をしたこと。  帰るのがめんどうでアヤヒサを呼びつけようとしたら、電話に出ない。  アヤヒサは三コール待たせないのに、五コール目でようやく取ったと思ったら、電話の向こうでドタバタと変な音が聞こえた。 『お電話ありがとーございます! よーちゃんだヨ〜咲ちゃん元気マン? 俺マンは元気マン!』 『かぇ……っぁ、ゔ……それは……ッ』 「やほやほ? アハッ、なんでアヤヒサにかけたらヨーが出てくんの? 今別に薬いらねー。迎えほしいんだけど」 『アヒャヒャッまぁた忘れてるぅ咲ちゃんって毎日死んでんよなぁ!』  フヒヒ、とうるさい電波。  んー? と首を傾げて、数秒の空白。 「あ、忘れてた」  アヤヒサ、お仕置きパーティ中だった。  そんなこんなで冒頭のセリフ。  仕方ないからヨーの仲間に迎えに来てもらって、しぶしぶお迎えにやってきた。あーあ、延長保育代がもったいないわぁ。  また長い階段をえっちらおっちら登っていく。  前と違って一番上というわけもなく、途中の階で横に逸れてどれもこれも似たようなドアのどれかへ案内された。どれかは覚えてねー。  ガチャガチャ。ドアを開けた。  中に入る。反吐が出そうだ。  血と汗と精液とアンモニアやらシンナーやらの混ざった気持ち悪い匂い。 「ぁ゛ッ……ぁが……は…ッ……ぁ」   そこで汚れた虫けらと化したアヤヒサがベッドにへばりつき、首にロープを引っ掛けられて傷だらけの体をしならせながら、背後から犯されていた。  尻に腰を押しつけられて仰け反る。  体重をかけられると逃げられない。  頭を壊してやろうと加減を知らない力で締め上げられるロープで息ができず、震える指でガリガリと首を引っ掻いてもがいている。  回収予定って言っといたから、一応は五体満足らしい。  まぁ赤黒く変色してる指が、三本。  折れてんね。ウケるわ。  鼻血の跡がこびりついた鼻の下。少し切れてる唇のはし。目尻に打撲。背中と腿にムチの痕。  掠れ果ててしゃがれた声。  犯されっぱなしでグロい穴に筋くれだった怒張が出入りするたび、精液と血がデロ、と掻き出されて垂れる。  メガネはとっくにどこかへなくなっていた。  犯している男は目が正気じゃない。薬物中毒丸出しの歯止めのきかないバカな面だ。お似合いお似合い。  うーん。なんか楽しそうだし終わるまで待ってよ。  ヨーが見当たらないので、壁にもたれかかってパーティーの閉幕を待った。  俺をここまで案内した若い男が、肩に腕を回して声をかける。 「ふーう。おたくのツレ、頑張るよなぁ? 改造系以外は言ったらなんでもやんのよ。あっちの具合も悦かったぜ」 「んー? なんでもやるからおもんないんじゃん? アハッ、具合はいいよ。エロいし上手い。俺はあんまヤんないけど」 「高望みってやつじゃね? ……んで、あんたも俺らの玩具願望?」 「クク、そう見える?」  迎えの男はアヤヒサたちを見てその気になったらしく、誘いをかけられたので小首をかしげる。 「ン゛ッ……! ンッ…ぅごほッごほッ…ぉ、ッ……はッ…はぁ……ッ」  スル、とその腕を逆に取って男の腰を抱いてやると、肩越しにアヤヒサがロープから逃れて苦悶の息を吐いた。  犯していた男がイッたらしい。  よかったねーついに解放されて。死にかけてるけど。  グニュンと尻肉を無理やり拡げられ、奥深くまでグリグリと押し込んで注がれている様を横目に祝福する。 「……ぁ゛……ぁ…ひ……」  アヤヒサは虚ろな目ではぁはぁと呼吸をして、逃げることも叫ぶこともせず射精が終わるまでじっとしていた。  スゲーね。哀れなカラダ。  自分は全然イけてねぇのに、他人のセーシは腹いっぱい出させられんの。  三日間マワされっぱなしで惨めったらしい有り様だわ。何回犯されたのかしら。  毎度こうして我慢してたのかね。  本当ならアヤヒサはここを根城にする半グレ集団なんかじゃ手出しできないような、社会的地位のあるグレードの高い男だ。  上場企業の社長サマ。何事にも動じず冷静に対処する。息吹家をバックアップに持つ不撓不屈のエリート。  忠谷池 理久はしたたかだ。本来は。  なにを犯しているのかもわからない薬物中毒者の肉穴になんてならない。  ハズだったのになぁ。

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