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No.1AVタチ男優は犯されたい
『No.1AVタチ男優は犯されたい』
眞中 久 、28歳。職業AV男優と言えば聞こえは悪いが、実績は誉められたもので悪い職種だとは思っていない。
むしろゲイである俺には天職だとも言える。
単にAV男優と言っても俺が相手にするのは男であって、所謂ゲイビデオというジャンルの作品だ。
有り難いことにデビュー作品から実績を残せた俺は、業界では少し名の知れた男優となった。
ただ唯一の問題は“業界No.1タチ男優”と言う異名……普通なら喜ばしいところではあるが、正直複雑な心境だったりする。
「――考え事?」
ハッキリとした二重の可愛い目が俺を見下ろして首を傾げた。
色素の薄い瞳は大きく、女性であれば誇らしく思うだろう。しかし俺を見下ろすのは同じ男。
可愛い顔をしているが、紛れもない男だ。
白い肌に小さな顔、目に掛かる前髪は細く柔らかい。そんな容姿の彼――奥村 密 もまた同じAV男優で、今まで幾度となく共演してきた。
俺よりも二つ年下だけれど、この業界では先輩にあたる彼は俺とは逆のNo.1。
ネコ、つまり受け側での人気が圧倒的に高いのだ。
特に彼の上目遣いは女性視点からでも見習いたいと思えるほどだとか……。
「僕は久に夢中なのに寂しいなぁ……」
「あ…悪い。密の顔見てた……」
そんな俺達は作品の枠を飛び越えて、現実でも恋人同士だったりする訳だが……事実は小説より奇なりとは良く言ったもので、恐らくこの光景を視聴者が見たならば驚きの声を上げるに違いない。
「そうなの?なら許してあげる」
無邪気に笑う顔は宛ら天使だ。
軽く口付けを交わした天使は、次の瞬間には小悪魔のように舐めずる動作を見せた。
「じゃあそろそろ動くよ?」
「ぁ……う、ん………っ…」
腹の中をいっぱいに埋めていた熱量が少しずつ引き抜かれていく感覚に腰が揺れる。
堪らず洩れた吐息も大きな瞳に視姦されて、更に身体を欲情させた。
身体に入る熱は言わずと知れた目の前の小悪魔のもの。
「ふふ、凄いね。中、ぎゅってしてる」
「ぅ……あ……そ、な……っ……」
そう、No.1を掲げる俺達は現実タチネコが逆だったりする。
「可愛いなぁ…普段はあんなに格好良く僕を抱くのに、お家のベッドだとこんなに甘えた声出すんだもんね。興奮しちゃうな」
「だっ……て、密…可愛いのに、格好良いから…ぁ…」
「ダメだよ、そんな事言っちゃ……激しくしちゃうよ?」
業界No.1のネコ様は俺の腰を掴むと勢い良く引き寄せた。
「――あっ……!や、そこっ!」
「今日の仕事さ、僕のここばっか擦ってたでしょ?久の気持ちいいとこ」
「う…ぁ……ごめ、だって……」
「僕に犯されるの想像してた?」
「し、して……してたぁ……っ…」
「ふふ、嬉しいな。僕もしてたよ。久に抱かれながら、ここ弄ってやろうって…ずっと考えてたよ」
【END】
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