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第4話

「... ...何だって」 「その目はどうしたのか、と聞いている。」 「... ...どうも、していない。一体何だっ、」 「そりゃ、可笑しいな。俺はお前と今朝会ってから今もそうだが。一度たりともお前の瞳を見ちゃいない。お前さんは何時だってその目蓋を閉じたままで俺の手から飯を取り、そばに置いた水筒を造作もなく指を伸ばし飲み干した。 仕舞にゃ俺の放った水と虹まで見ていた。 お前さんのその目蓋は開くまでもなく色も距離も見通せるらしい。」 「そ、んなわけ無い、そんなわけあり得ないっ、!」 「有り得ないも何も事実だ。お前の両眼の上には横一文字に刀傷が這っているんだからな。そんな事も"忘れた"のか?」 ガツン、と頭を鈍い衝撃が走る。 まるで重たい石で思い切り殴られた気がした。 ーー忘れるもんか、 ふと、そんな言葉が僕の頭の中に浮かぶ。 僕は"何か"を忘れた。 名前も歳も何処から来たのかさえも忘れて。 「俺は旅をしながら亡骸を弔っている。 一昨日まで俺はここから少し西へ行ったある村で弔いをしてきた。 そこには、昔から恐ろしい言い伝えが有ってな。」 「そう。」 僕は彼を見る事が出来なかった。 足元に視線を落とし、そこに転がる石ころを黙って見つめて彼の話を聞いた。 「昔々、ある村に先読みの巫女と言う者が居たそうだ。」

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