7 / 10

第6話

その年はただひとり、巫女だけが病を得た。 何故なら裂かれた瞳が熱を出した為に彼女は三日三晩苦しんだ。 その後は先読みのチカラを失い、巫女は只の人間へと成り下がった。 しかし盲でも、元は巫女。 当代の巫女は村のひとりの男に娶られひとりの子を成した。 不幸な事にその子にも、先読みのチカラが引き継がれてしまった。 村人はある時、ほんの戯れのつもりでその子に尋ねた。 今年の村はどうなりそうか、と。 その子は母に似た黄金色の瞳で応えたそうだ。 ーーみんな しんじゃう。 村人が取る手段は決まっていた。 今この場でこの子の瞳を潰す。 その役目を担うと申し出たひとがいた。 その子の母だった。 子の罪は母が贖う、その事に村人は誰もが納得した。

ともだちにシェアしよう!