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第5話
大勢の目のある中で派手に転んだ詩音を、知成はやたらと笑った。
『もー、やだ。マジ、ない! ちょー恥ずい!』
心配する前に、ただただ笑った知成に、詩音はキレた。
『笑ってないで、起こしてよ! 手ぇ、貸してよ!』
怒る詩音に、知成は逆ギレした。
『何だよ、お前が勝手に転んだんだろ? 俺に恥かかせるなよ!』
『ひどい! 知成がそんなに薄情だなんて、思わなかった!』
『よせよ。人が見てるだろ』
ばつの悪そうな顔つきで、知成は周囲をちらちら見ている。
ついには泣き始めた詩音に気づくと、後はもう逃げるようにその場を去ってしまった。
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