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第6話
「だって、下駄なんか履いたことないんだもん。誰だって、転ぶよ。普通」
「もう、泣くな。奢ってやるから」
「ホント!?」
「ああ。好きなもん、何でも言え」
やったぁ、と詩音はようやく立ち上がると、霧矢の手を引いて広場を巡り始めた。
綿菓子、唐揚げ、リンゴ飴。
ダーツに、ヨーヨー、金魚すくい。
「ね、あとアレが飲みたい」
そこには、色とりどりのカクテルが並んでいた。
「酒はダメだ。俺たち、まだ未成年だろ」
「だから、飲んでみたいんじゃん」
「飲むなら、お前だけ。俺、バイクで来たからな」
「一人で飲んでも、つまんない」
「じゃ、やめとけ」
意外だな、と詩音は思った。
ワルの霧矢くんなら、カクテルくらいがぶがぶ飲みそうなのに。
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