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第8話

 次々と打ちあがる花火は、どれも素敵に美しかった。  目を輝かせて夜空の彩りに夢中になる詩音を、霧矢は時折横目でちらりと見ていた。  広場の真ん中で泣いていた顔は、もうそこにはない。  いつもの、教室でにぎやかにはしゃぐ詩音は、自分を取り戻していた。 「ね、霧矢くん。たぶん次、すっごく大きいのが上がるよ!」 「そうかよ」  つかの間の沈黙の後、ひときわ華やかな花火が上がった。  大輪の周囲を、虹色の光がきらめかせる。  腹に響く打ち上げの音が、心地よい。 「ぅわぁあ~!」  歓声を上げる詩音を、霧矢はまぶしく眺めていた。  

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