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第9話
花火は、終わってしまうと妙に淋しくなるものだ。
夜空の闇が、さらに深く思えるものだ。
そんな寂寥を味わいながら、詩音は霧矢と並んで歩いた。
「綺麗だったね、花火」
「ああ」
「これから、どうする?」
「バイクで、送ってやるよ」
「いいの!?」
「ああ」
駐輪場で清算を済ませ、霧矢は一つしかないヘルメットを詩音に渡した。
「霧矢くんは?」
「仕方ないから、ノーヘル。ポリスがいたら、教えろよ」
誰も乗せたことのないタンデムシートに詩音を座らせ、霧矢はエンジンをかけ走り出した。
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