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第10話
初めてのバイクに、詩音はドキドキしていた。
自動車とは違う解放感と爽快感が、そこにはあった。
「霧矢くん! もっと飛ばして!」
「バカ。捕まる」
バイクは疾走し、街灯が次々と後ろに飛んで行く。
渋滞の道路も、自動車の間をぬってどんどん前に行く。
「霧矢くん、バイクってすごいね!」
「まぁな」
霧矢の腰にしっかりとしがみつき、詩音はその体温を感じていた。
不良と呼ばれる霧矢の温かさを、感じた。
「このまま、どこまでも走って行ければいいのに」
「なんか言ったか?」
「ううん、何でもない」
ただ、力いっぱい霧矢に抱きついた。
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