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第11話

 次の交差点を左、信号から右、そのまままっすぐ、などと詩音の指示通りに霧矢は走った。  そして、着いた先は……。 『ブティックホテル・ロンド』 「さ、着いたよ。降りよう」 「ここが、お前ん家かよ」  詩音は、そうだよ、などと空とぼけている。 「上がってよ。お茶くらい出すからさ」 「ふざけるな。ホントの家を教えろ。送るから」  それには、唇をとがらす詩音だ。 「霧矢くん、僕のこと抱きたいとか思わないの?」 「思わねーよ」 「据え膳食わぬは男の恥、って言うじゃない!」 「何だ、それ。意味不明」  これ以上何を言っても無駄だ、と悟った詩音は、無理やり霧矢の手を引くと、ぐいぐいホテルの中へと入って行った。

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