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第12話

「わぁ、いい部屋。さ、寝よ寝よ♡」 「仮眠だな」 「そうじゃなくってぇ!」  詩音は浴衣の裾から勢いよく下着を脱ぐと、ぽんと放った。  そして、大きなベッドの上にしどけなく横になって見せた。 「来て。早く」 「パス。俺、硬派で通ってるから」 「お願い。僕、辛いんだ。慰めて」  これは異なことを。  霧矢は、ようやくまともに詩音を見た。 「何で、辛いんだよ」  あんなに眼を輝かせて、花火を見ていたのに。  しょげた心は、元通りに明るくなったと思っていたのに。

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