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第13話
「知成と、あんなことになっちゃって。今夜、彼と初エッチするつもりだったのに」
「仲直り、すればいいだろ」
「しない。もう、あんな人、知らない!」
ぷいっ、と顔を背けて、詩音はベッドにうつぶせてしまった。
「おい」
返事が無い。
時折肩が震えているのは、また泣き始めてしまったからだろう。
霧矢はその姿に溜息をつくと、ベッドに上がった。
「泣くなよ」
「だって。っく、うぅ」
霧矢がそっと肩を抱くと、詩音は勢いよく抱きついてきた。
「うぅ、うぁあん!」
「よしよし。気の済むまで、泣け」
泣き顔も可愛い、詩音だ。
だけど、こいつには笑って欲しい。
こいつには、笑顔が一番よく似合うんだ。
霧矢は、詩音に静かに口づけた。
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