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第18話
熱はしばらく、引きそうにない。
火照った身体を、心を休める間も、詩音は時折ぴくんと痙攣していた。
「う、うぅ……。はぁ、はぁ、んっ、あぅ……」
「大丈夫か」
「ん、平気」
「あの、な」
「ん?」
「忘れられそうか? 辛かったこと」
あぁ、そして霧矢くんは、ここでも僕を気遣ってくれる。
「ありがと、霧矢くん!」
詩音は、霧矢の体に抱きついた。
ぐりぐりと、柔らかな髪を霧矢の胸に押し付けた。
「よせよ、くすぐったい」
「ふふっ」
退室時刻が来るまで、そうして二人で睦み合っていた。
幸せな、時間だった。
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