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第6話 · 半月後の再会
恋 心
1998年3月下旬………
ススキノ·カフェバー
深夜 1時半頃…………
…‥直也は、
仕事場から100ⅿほどの、
待ち合わせの、カフェバーまで、
走っていった…‥
店内に入り見回すと……
………窓際の一番奥のボックス席に、圭一はいた……
直也は、近づいて行き、声をかけた ~
「 ヤッ ~ 、待った ァ ~ ? 」
「 うぅん、いま着いたばかり ~ 」
「 良かった~ ‼ 」
直也は、その瓜ざね顔に見とれながら、向かいの席に座る…
今日の圭一は、ベージュのハーフコート、
オフホワイトのハイネックセーター、ツイードのパンツ、
そして何より、その象牙色に光る、美しい顔と手がまぶしい……
………「 なに飲む ? ここ食べ物も結構、美味しいよ ~ 」
二人で、メニューを見ながら、ここのスタッフを呼ぶ
圭一は、スウィートベルモットの炭酸割り
直也はバドワイザー、
フードは、パエリアとアボカドサラダを注文した…‥
再会を、喜び合う乾杯を交わし、
これからどう過ごそうかと、考えながら、
圭一との時間を楽しんだ…‥
まず、学校のことを聞いてみた…
「 いつから、始まるの ~ ? 」
「 4月の7日から ! 」
「 あと、1週間ぐらいかぁ ~ 」……
……青年になりかけ前の、圭一。
まだ、18才だというのに、相手を惑わすセックスアピールがあり
直也は、一瞬で、魅入られてしまった…
圭一は、色白できれいな顔をしているのだが、それは、
女の子の顔とは、まるっきり違う。
どのように、表現したらいいのか、直也は、心の中で思いめぐらしていた
顔だちは、どちらかと言えば、 キリ~ッとしていて、
一見、冷たそうにも見えるが、
微笑むと、とても魅力的な表情をする…‥
圭一のようなビジュアルは、映画の俳優や、
何かのフォトで、見たことがなかったろうか~⁉
何年か前に見た洋画で、
《 マイ プライベート アイダホ 》 と言う作品があったが、
それに出ていた『リヴァー·フェニックス 』とは、
イメージが違うし、
それなら、リバイバル上映の映画館で見た《 ベニスに死す 》
の主役の少年のほうが、 圭一ににているかなぁ ~ なんて考え、
無口になっていた直也に、
圭一は、「 どうしたの ~⁉ 」と声をかけてきた。
直也は、あわてて
「 あッ、ごめ~ん ! 明日からの事考えていた ! 」
ニコッとしながら、圭一が言ってきた…‥
「 直也さんの 部屋にいていぃ ~ ⁉ 2~3日したら、
一度、部屋を見に帰るけど ~ 」
「 O K ~ !! いいよ ~ ! 歓迎するよ ~ !! 」
直也は、過去に余り味わったことのない、甘酸っぱいような、
心が満たされていくような、不思議な気持ちになっていた……
時間がたつにつれ、酒も進み
直也はビールのレーベンブロイを追加し、
その後は、バーボンを、
圭一は、アルコールは弱いらしく(本来、20才未満だから駄目なのだが)
甘いジュースのようなロングカクテルを、
直也に何がいいか、尋ねながら注文していく…‥
……お互いの家の事で、驚いたことは、
圭一の家は、農業と酪農を営んでいた…
圭一が農業をやっている姿なんて、想像もできなかった…
まぁ、実際には、まだ、やったことはないとは言ってたけれど…
それでも、受け継ぐのは、圭一しかいない事、
兄弟姉妹は、姉が一人いる事、
馬とか牛も若干いて世話が大変な事……
…‥…直也は自分の知らない、
その素朴な世界の話しを、
羨望の気持ちも入った眼差しで聞いていたし、
圭一が、実家の事や実情を、
隠さないで話してくれたことに感激しいた……
圭一が、ほんとうは油絵の道か、
ファッションの方へ進みたいと思っていると……
聞いた時は、なんか、可哀想に思えた。
" 自分のやりたい道に進めないのか… "……と…
農業を受け継ぐことを、嫌だと言えない現実、……
札幌で、自分の好きな勉強をしている間の数年間は、
自由にしていいけど、
その後は、故郷に戻り、
家業を継ぐようにと言われてる事……
…‥バレーボールを、
中学生の時から今まで続けてきたと聞いた時は、
体がメチャ細いのに、
ここまで続けるなんて 意思が強い面も
あるんだろうなと考えたりもし………
…‥油絵は、抽象画がメインで、
苦悩や狂気を暗いタッチで描くのが好きなんだとの話しでは、
直也の理解するカテゴリーを超えてしまっていた…‥
圭一が、
「 そのうち、実家に遊びにきた時に、
展覧会に出した作品を見せるね ~ ! 」と言ってきたので、
" えッ ! 、実家に俺を、招くってことは、俺とつき合うの ~ ?? 俺を、気に入ったってこと ~ ⁉ "直也は、
疑問を持ちながらも、希望的観測ってやつで、
圭一のその言葉が、嬉しくてたまらなかった……
…音楽の話しでは、圭一は、ケルト的な 、『 シークレット·ガーデン 』、
『 エンヤ 』、そして『 ブライアン·アダムス 』
『 スティング 』、などが好きだと言う。
……お互い、邦楽を、
まるっきり見たり聴いたりしない訳ではなかったが
選択の多くは、洋楽だった。
…‥直也は音楽では、以前は、ハードロックが好きだったが、
このごろは、女性ボーカルが好きで、ブルース、ジャズ、
バラード、ポップス、R&Bなどが好みになっていた。
その上更に、クラシック、シャンソン、フュージョンなども聴くようになっ
ていた……
……圭一とは、映画の好みもほとんど一緒で、その多くは洋画を選んだ。
邦画で面白いと思ったのは、伊丹十三シリーズぐらいで、
記憶に残るものは数少ない………
ほかの分野では、直也は、絵画のほうは、
写実画、特にルネサンスの作品などが好きなので、
これに関しては、隔たりがあったが……
例えば、小説などの書籍、ガーデニング、犬や猫などの動物のこと、
食べ物の好き嫌い、ファッション、車、
旅行等、などで圭一とは、好みが共通しているなと思った…………
…………………
………………
……ススキノの朝が近づく頃、
二人は気持ち良く酔いながら、
直也の家へ向かった。タクシーで10分もかからない場所へ……
……北海道電力の本社から、少しばかり東に行くと、
繁華街がすぐなのに、 静かな、古くからの住宅街がある。
そこに直也の
祖母が持っていた空き地に、去年、父親が、家を新築した。
その家の2階に直也は、部屋を、確保し暮らし始めた。
……直也はこの部屋を、とても気に入っていた。
1つは広いこと、12帖と8帖の2間あり、 クローゼットも広く、
使い手がよかった…‥‥
もう1つは、玄関が2つあり、直也は普段、2つ目の予備の方を使ったので、両親に
まったく会う事なく、部屋の出入りが出来ることだった。
……父親は、変わらす新聞社に勤めていたが、母親のほうは
長男(前夫の子)に、酒屋を譲っていたので、毎日、友人の所へ遊びにいったり園芸をしながら過ごしている‥……
……………
………………
札幌の街なかを、通り過ぎ、
直也と圭一が、大通りの家に着いた頃には、
空は、薄っすらと明けてきて、日が昇り始めていた…
直也は、そ ~ ッとサブの玄関ドアをあけ、2つあるリビングルームのうち
の、第2のリビングを通りぬけ、右端にある階段を、
静かに圭一と二人、上がって行った …‥
上がってすぐに、直也専用の小さなリビング兼勉強部屋があり、、その奥にベッドルームという間取りだった…
……二人とも、酔いと眠気でぼんやりしながらも、
ブルゾンを脱ぎ、ソファーに座った。
「 何、飲む ⁉ コーラでいい ? 」……圭一は無言でうなずいた……
圭一には、コーラ、直也はバドワイザーをあけ、
口に充てながら、
おもむろに、音楽をかけた……‥
『 ラウラ · パウジーニ 』の切ない声が部屋を満たしてゆく中で、
隣には、半分眠りかけている圭一が座っている…‥
直也はこのシチュエーションに、今まで味わったことがない、
やすらぎにも似た、感情が生まれ、
、圭一との間に愛が芽生えそうな気がしていた………
直也はソファーに寄りかかり、うなだれている圭一を、
そ~ッと起こし、声をかけた。
「 横になれば ~ 、寝ていいよ ~ 、俺はもうちょっと起きてるから ~ 」
「ウ ン 、わかった ~ 」
圭一は、フラフラっと歩いて行き、寝室で服を脱ぎベッドへ潜り込んた。
一人直也は、薄暗い部屋で、酒を飲みながら、音楽を聴いて
今の幸せを噛みしめていた……
ソファーの上で、眠ってしまった直也の夢のなかに、
ある物語が、浮かんできていた………
それは、《 ギリシア神話の神ヘルメスと、恋人、美青年クローカスの物語
》、………戯れ遊び、愛し合い求め合う二人、……
クローカスと、ヘルメスの愛は、
誠の愛であり、末長く幸せに、二人は愛を育くみ生きて行く………
はずであった。
だが、ある時、クローカスに、突然、死が訪れた…… ⁉! …
二人の仲の良さに嫉妬した、『 風の神 』が、
いたずらで、一瞬、突風を クローカスに吹きつけ、
彼が怪我を負うように、仕向けた ……大怪我を負ったクローカスは、
血に染まりながら、死を迎え、この世を去ってしまった……
その死を目にした
ヘルメスは、嘆き悲しみ…なんとかして
クローカスを生き返らせようとしたが、無駄であった……
……愛するものを失う悲しみ、苦しみは、その当人でなければ、
わかり得ない心情であった……
ヘルメスは、クローカスの死の場所に咲いた美しい花を、彼を偲んで
《 クロッカス 》と名付けた……
…………………
…………
… 直也は、目を覚ましつつ、寝ぼけ気味な、まなこで
周りを見渡した…。「 あッ、そうか ~ ! 」 とつぶやいて、
奥のベッドルームへ行き、服を脱ぎ捨て、
圭一の眠っているそばに、身を
横たえた。
圭一の寝息が聞こえるので、起こさないようにし
直也が計画した、
きょうの、プランを思い返した。
" 午後起きてから、まずは、美術館に行く、
それからパルコあたりに行き、
めしを食って、ショッピングをする……
圭一に何か、シャツかパンツを買ってプレゼントする。
こんなとこかなぁ、~ 夜どうするかは、圭一の希望を聞いてみよう。 "
直也は、一人満足げな表情を浮かべ、眠りにはいる体勢をとった……
…‥…直也は、心境の変化が生まれて来ているのを、感じていた…‥
以前なら、SEXがしたくて堪らなく、
体だけの付き合いを求めたり、
自分さえ良ければいいといった行動を取ったり…と…
まぁ、少し弁護をするなら
傷つきたくなかったせいかもしれないが……
今の直也の心は、
SEXの相性が合うのは、もちろん大事だけれど、
それと同時に、心から愛されることを願っていた。
そして、愛されたいのなら、自分が変わらなくてはと………
思い始めていた……
…‥直也は、
圭一を離したくないと思う気持ちが、徐々に強くなり、
彼の希望がはっきりするまでは、ゆっくりゆったりと
二人の関係を進ませていこうと決めていた……
せっかく、圭一が、また、会いに来たのだから、
自分のことを気に入ってもらえる努力をしようと……
直也は、理想のタイプが、すぐ隣に、
それもほとんど裸に近い格好で寝てるのに、手を出さないなんて、
そんな、自分に驚いていた…
“ 俺って、こんなに、 うぶ だったの ~ ⁉ ”…と
直也は、考えたりしながら、だんだんと眠りに落ちていった……
……………
………
……昼も過ぎたあたりなのか……‥虚ろな気分のなか、
直也は、
なにかの接触している違和感で、夢のなかから降りて来ていたが、
まったり感はそのまま、少 ~ し左に身をよじった。
圭一の、黒いツヤツヤの髪が、目に入った……
直也の背中に身を、うずめるようにして、眠っている…
直也は頭の後ろの時計を見上げ、" もぅ~ 1時かぁ~ " と思いつつ
ベッドを出て、弱~く、音楽をかけた。
《 いそしぎ 》のロマンチックなメロディーが流れて行く …
圭一が起き出すまでには、部屋を暖かくと思い、
暖房のスイッチを入れ、
1階に降り、バスルームのせんをひねり、湯を満たすことに……
… 自室に戻ると、圭一が毛布にくるまったまま、
顔だけ出して、ゆったりと、直也を見詰めてくる…
「 起きたぁ ~ ? 」直也の問いかけに、
圭一は、 ” ムフッ ”と、はにかんだような、表情を返してきた…
直也は、ベッドに近寄り、圭一の唇に " おはよう " を兼ねた、
軽いキスを数回した。
直也は、今は、それだけで、満足だった…
…………
圭一にきょうの、プランを話し、「 3時には、外へ出ようね ! 」 と
伝えて、直也は1階のバスルームへと降りて行った……
………
その日、午後から二人は、最初に、地下鉄で3つ目に降りた場
所にある、道立美術館に行った……
" 圭一の好きな所へ、まず、行かなくちゃ !! " と思い
直也は圭一の手を引っ張るようにして、向かった…
……
流石に、絵画のことは詳しく、画材や、筆のこと、作品のことなど
いろんな説明をしてもらった。
『 パウル・クレー 』や『 ブラック 』に傾倒していること、
圭一は絵が売れる画家までになれなくても、学校の美術の教師でいいから、
絵画のほうへ進みたいのだと……
直也は美術館の喫茶室で、自分の夢を語る圭一を眺めながら、
圭一のビジュアルだけではなく、そのはっきりとした考え方や、
生き方にも惹かれていった……
美術館の帰りは、春にはもう少し時間がかかりそうな、
ぬかるみが残る、肌寒い、大通り公園を、
街の中心部へと向かって歩いた。
街なかに着いた頃には、うっすら暗くなりかけていて、デパート界隈は、
人混みで混雑していた…
4丁目の角のスクランブル交差点を渡り、パルコのなかへ…
エレベーターに乗り、レストラン街で降りて、お洒落なかんじの、
和食の店に入った……
食事の間 、 圭一に「 シャツとかほしいものある ~ ? 」と尋ねると
「 今は、別にないかなぁ ~ 」
「 そッか ~ 、行きたいとこは ~ ? 」
「 うぅん、なんか買って帰ろ ~ ! 」
「 そうする ~ ? 」……「 うん !! 」
二人は、近くのスーパーで、お菓子や、アルコール類など、
たくさん買い求めて、帰路についた…
2番目のリビングのドアを開けると、祖母と姉が、
談笑してたので、直也は、
「 友達、来たから ~ 」と告げた…
祖母と姉は、気を利かして、リビングから姿を消してくれる…
圭一に、自分の家族に挨拶させるなんて、
余計な気を使わせるし 叉、わざわざ、同性の友人(表向きには)を、
家族に紹介なんて、婚約者や結婚相手でもあるまいし、
" ちょっと変 "と思ったので、
まだ 、今は、顔を会わせないようにしておいた…
…2階へ上がり、部屋を温めながら、借りてきた、
ビデオのスタンバイをして、
まずは、乾杯 ……。
直也の部屋の冷蔵庫には、ウイスキーや、スピリッツ、リキュールと、
結構な種類を置いていて、シェーカーこそ使わないが、
普段から、酒をいろんな飲み方で楽しんでいる。
……
きょうの直也は、アイリッシュミストのジンジャー割り、
圭一には、カルーアミルクやティフィンソーダを出した。
しばらくして、
リチャードギア 主演の《 真実の行方 》 を 見終わり、
直也は、圭一が1階に降りてシャワーを浴びてる間に、
部屋をかたし、
ベッドサイドランプだけを灯し、
小ソファーで一人、CDをかけて聴いていた……
圭一の階段を上がってくる足音が、聞こえたので、
グラスに氷を入れ、コーラと共に、テーブルの上にセットし、
「 それいいよ ~ 、飲んで ~ 」と、直也は圭一に促した……
………
…寝室からの明かりのみで、暗めの、ミニリビングのソファーに、
圭一は、シャワー後の体を、
直也が貸したTシャツとハーフパンツという姿で、
ソファーにもたれながら、座っていた。
「 もう、寝よっか ~ ? 、俺も、ちよっとシャワー入ってくる … 」
……
直也は、1階に降りて行き、シャワーを浴びながら、
きょう1日の事を、振り返ってみて……楽しかったなぁ…‥と
………きょうのように連れ回して、
そして、ついてくる、そんな弟が、欲しかったのだと……
その気持ちは、小さい時から、あったのだが、
半分、忘れかけながら生きてきた。それが、今は、弟と恋人を兼ねる
存在に、圭一が近づきつつある……
………………
直也のこうした想いの原因は、生い立ちにあった。
直也の母親は、前夫との間に四人子供がいて、
直也の父親より10才ほど年上だった。
直也にしてみたら、父違いの、それも子供の時、
一緒に住んだことも少ない兄や姉に、
100%の愛情を持つことは出来なかったし、さらにその境遇から
孤独感も生まれていた……
……こんな子供時代を過ごしてきた直也の望みは、
弟が出来ることだったのだ。けれども実際出来ることはなかった……
10代と、それに23才までの今まで、
SEXのひどい乱れや、溺れるような酒の飲み方、
これらは、
すべて孤独感からきてるものじゃないかと、
直也は、考えるようになっていた。
この置かれた立場で、 弟が欲しかった理由は、ある程度、理解できたが、
どうしてゲイになったのかは、直也は、それは自分でも解らなかった………。
…生まれつき…家庭環境…性的虐待があったとか、友達とのいたずらがエスカレートしたためとか、………
でも、ほんとうのところは、どうなのだろう……直也には答えを出すことができなかった…………。
…………
…シャワーを出て、2階に上がると、
部屋は、暖房がついたまま、圭一はすでに寝室に行っていた…
直也は冷蔵庫から、エビスの缶ビールを出して、
一気に半分ほど飲み干して、テーブルに置き、ヘッドホンをつけた。
『 グローバル ワシントン ジュニア 』の 、あの有名な楽曲、《 Just the
two of us 》に酔いしれながら…‥‥
この部屋の直也のすぐそばに、圭一が眠ってる……そのことが嬉しくて、この時間が、永遠に続けばいいなぁと、直也は考えていた……
…………
…‥ 曜日が変わろうとしていたころ、
気分良く酔った直也は、飲むのをやめて、
スウェットを脱ぎ捨て、圭一の横に滑り込んだ。
静かに入ったつもりだったが、
それでも、振動が伝わったらしく、
圭一は 「 う ~ ん ~ 」と寝ぼけた声を発し、
寝返りをうった……
…‥こちらに向いた、圭一の顔は、
ベッドのランプに照らし出されていて、
ギリシャの彫刻のようだと、直也は思った…‥…
…‥…‥
……起こしたら、
駄目と思いながらも、おやすみのキスだけと決めて、
直也は、
圭一の唇にそう~ッと自分の唇を触れさせて、その柔らかさを、
感じとっていた ……
" さぁ、おとなしく、寝ようかな … " と考えていると……
…その時、圭一の舌先が、直也の唇の間に、入り込んできた。
直也は、驚きつつも、興奮して行き、
その舌先に自分の舌を這わせ、
だんだん、少しずつ、そして、強く、舌と舌をからませていった……
圭一の喘ぎ声が、聞こえてき出し、
直也も、もう抑えがきかなくなっていた。
圭一が悶える…
「 あぁ ~ ッ !! 、あぁ~ン ! あぁ~ン ! 」直也も興奮していき、
圭一の体に覆いかぶさり、
刺激を強めていった。激しく圭一の口唇を求め、
だんだんと下の方へ ~ 乳首を舐めると、圭一は、
一段と声を、荒げて悶えた…
直也は、更に下にいき、圭一の太ももの間に顔を置いて、前を見た。
すぐ前に圭一の色鮮やかな、ブルー系のツートンカラーのビキニが見え、
その奥には、圭一の顔が覗いている……
…直也は、ビキニの下のラインから、舌を差し込み、
圭一の男の、袋の部分を、チロチロ舐め、口に含んだ~‼
「 あぁ~ッ! あぁ~ッ ! 」と圭一は、
よがりながら、体をよじっている……
直也は、そのラインから、勃起して濡れている圭一の男を、
引っ張り出してしゃぶり始めた…
直也は、
それを喉に届くほど入れたり、
鬼頭のあたりを、舌で、廻すように舐めたり~
圭一の悶える反応を観ながら、刺激していった…
圭一の肉茎への、直也の口唇による出し入れが、早さを増すと、
微かに、圭一も腰を動かしてきて、感じでいるのがわかった……
圭一が、直也の目を見詰めながら、言った。
「 いかせて ~ !! 、手でやって ~ ! 」
激しいキスをしながら、それぞれの手でしごき合いながら、
二人は、絶頂を迎え、登り詰めていき、お互いの手の中で、果てていった…‥
圭一の、「 あぁッ、 いきそう ~ いくよ ~ いく ~ !! 」
の卑猥な色っぽい喘ぎ声が、直也を恍惚に導いていた……
……圭一と愛し合ったあと、余韻から覚めたあたりで、
直也は、圭一の趣向や、希望などを何気なく聞いてみた…
…何しろ、ゲイの世界は、好みのタイプにうるさくて…
ルックス、体形は勿論のこと…
おじいちゃんが好きな、若くてきれいな子もいれば、
おデブちゃんが好きなガリガリの人、年下にやられたい人、
以前直也が経験した、ビジュアルは完璧な男なのに寝たら女っぽくなる人、
などとにかく、バリエーションが凄い……
だから、直也は、圭一が無理することなく、自分に、
本当の姿をさらけ出して欲しいと思った。
それが、長続きにつながるんじゃないかと、考えていた……
圭一の希望は、年上は当然なのだが、
どんどん引っ張っていく強引な人、圭一自身は、
受け身なのでタチの人、体は、色黒で逞しい人、
…お金は頼るつもりはなく、ヒフティヒフティの関係がいいと……
直也は、圭一に言われた事柄を、頭の中で考えてみた……
…大体は、クリアしているけれど…
色黒は、地黒な方だというぐらいで、アウトドアの人のように
真っ黒ではない…
それでも、楽観的に、" まぁ、大丈夫かなぁ ~ " と思い、
体格の方の心配をしてみる…
圭一は 、 自分が痩せているぶん、相手には 結構ガタイのいい人を求めてい
ると言った。
直也は、スジ筋そのもので、細いけれど筋肉質といったかんじで、
ムチムチではない……
しかし、今更、身を引けないし、 圭一を手放すなんて考えにも
及ばなかった……
圭一としては、若干、物足りないんだろうけど、
直也は、
…" 俺のほうを向かせてみせる !! 頑張る !! "
と決心し、 意気込んでいた…………
………………
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