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運命の番

まずい、と直感で感じ何とか男の腕から逃れようと身をよじると頬をするりと撫でられる。 「動くな」 「ぃっ、」 触れられた右頬が静電気のようにピリッとして思わず動きを止めたのが運の尽き。 その隙にしゅるっとネクタイが取られた 「ひッ、」 次はシャツのボタンが上から二つ、千切れそうなくらいの勢いで外される。 後ろではハァハァ、と荒い息遣い。 腰には硬いモノが当たっている Ωに関しての知識は当たり前にある。学校でも家でも必要以上に叩き込まれた。 『番関係の契約』 簡単に言うと‪α‬がΩの項を噛む。そうすると一方的で、死ぬまで解けない呪いが出来上がる。双方同意の場合はこの上ない幸せを感じるだろう。 あぁ.....ちゃんとお母さんの言う事聞いて勝手に噛まれない用のチョーカー着けておくんだった。 こんな汚いネオン街で、見世物みたいにどこの誰かも知らない‪α‬に噛まれて、情けない。 やっぱり俺はΩだから、いくら運動や勉強が出来ても本質は‪α‬には何一つ勝てない。 今もこうやって簡単に噛まれそうになっている。 グっとシャツの襟が後ろに引っ張られ、そこを生暖かい何かが這う。何か、なんて言わなくてももう分かっているけど。 ツ....ともう一度舌が項を這って、耳に直接声を吹き込むように喋る男。 「よく聞け、お前は俺の番だ、責任は取る。」 「い、や」 口だけ些細な抵抗をするがもう遅い

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