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もちろんそんなの簡単に信じてくれないのが大人って生き物だ。まぁ俺が信じてないのにお堅い父に信じろという方が難しいかもしれない。
「何を言っているんだ。ふざけた事を言わずに今すぐそいつを連れてこい」
「...今日お仕事らしいし、また近い内に挨拶させてくれって言ってたから、また今度でいいかな」
「社会人なのか?何の仕事だ」
「普通のサラリーマンだよ。明日その人の家に泊まる。学校もそこから行くから。」
さすがにヤクザさんだよとは言えずそう伝えると父はそれは信じたらしく『ウゥン.....』と唸った
よくヤクザさん達って表では普通に仕事してるって言うし....まぁ今日は仕事ではないだろう。幾つも嘘を重ねているのに申し訳ない気持ちになりながらこの話は終わりとでも言うように席を立った。母と妹はずっと泣いていた
その日の夕食が並ぶ食卓では誰も一言も交わさずシーンとしていた。俺は何も悪くないのにとてつもなく気まずくて食べ終わると早々に部屋に戻った。
バタンと部屋のドアを閉めるとそのままベッドにダイブ
「はぁー」
これからどうしよう。父さんは激怒だし母さんと由奈はボロ泣きで自己嫌悪。一番ボロ泣き自己嫌悪したいのは間違いなく俺だよ。
だけど、
「..全部....言う程そんな嫌じゃないな.....」
口では嫌と言うが、思い返せば噛まれた時だって本気で抵抗しようと思ったらもっと色々できたはずだった。金玉潰したり目潰ししたり腕に噛み付いたり?だけどおれ何もしなかったなぁ.....本能がこの人だ!って分かってたのかな?
明日からのお泊まりも嫌なら行かなければいいだけなのに満更でもない自分がいる
もし発情デビューしていたら何か感じたのかもしれない
運命だってわかるようなのが何かあったり......
黒川さんやけにしつこく『運命の番』って言ってたからきっとそう信じる何かがあったんだろう。αって洗脳の能力とかあるのかな?運命の番とかあるわけないって思ってたのに少し信じかけている俺
俺、思えば黒川さんについて何も知らないな
家と名前とαってことしか知らない
まぁ全部、明日聞こう。時間はたくさんある。そう自己完結し深呼吸をすると瞼が重くなってきてそのまま目を閉じた
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