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「神崎、お前天才だな」
「ありがとう白林。俺もそう思う」
スタジオに戻ってくるなり可愛い女の人が二人やってきて、俺と爽それぞれ、顔に色々塗られて化粧された。
白林さんは満足そうに俺と爽の頭を撫でた。『次、髪』と言うとまた違うスタッフさんがきて、髪の毛になんかつけたり色々している。人に頭を触られる事があまり無いので少しソワソワ。
「はいはい完成〜二人ともこっち〜」
鏡を見ると俺は左だけ髪を耳に掛けてて、爽はキツすぎないオールバックになっていた。
あれよあれよとスタジオの中心に二人で棒立ちする。なんか大きいレフ板で光を当てられ目を眇めた
「緊張しなくていいよ、黒髪の君、隣の子の肩に腕回して。」
黒髪の君は爽のことで、指示を受けた爽はスルっと左腕を俺の肩に回した。なんか急にリラックスしている様に見える爽に対し、俺はガチガチに緊張して棒立ちを続行している。
「なぁ華、月曜の一限って生物だったよな?」
「は?なんだよ急に、集中しろよ」
急に俺の耳元で小声で言ってきた爽に注意するが集中できてないのは俺の方だ。さっきの女の子二人組の撮影は終わったんだからもうスタッフさん達も別の作業があるんだろうなと思っていたのが間違いだった。スタッフ陣は引くことなく俺と爽の撮影をジッと見ているのだ。
「な〜華〜、緊張するよな、今は俺だけ見てて」
「?」
何言ってんだ、と右を向くと小首を傾げた爽と目が合う。
瞬間、視界が白け、パシャ、という音でシャッターを切られたのだと気付いた
ザワ、とスタジオ内の空気が揺れる感じがしてキョロキョロと周りを見回す。
「君!黒髪の君!やるねぇ!」
カメラマンさんが大きな声で爽を褒めている
白林さんもウンウンと満足そうに頷いている
「ありがとうございます!!!!!」
「え?」
俺だけ状況を理解できずにへらっと苦笑いすると白林さんがダッシュでこちらへやって来て俺の手を上下にブンブンした
「たった1枚、しかも初めてなのに何から何まで想像以上だよお前ら〜」
「俺!将来は芸能界に入って世界中の人に俺の事知ってもらいたいんです!!」
「素敵な夢だ。あ〜ここで逃すのには惜しいな〜クソッ…」
…?爽は今すぐにでもこの事務所に入りたいって感じなのに白林さんは腕を組んで難しそうな顔をしている
「清水くん、君、華くんが好きだろ?」
「「え」」
脈絡もなくそう言われて二人で目をギョッと見開く
爽が、俺の事、好き?ギギギ、と効果音がつきそうな動きで爽を見る
「あ、ごめん、普通に友人として。」
「最初からそう言ってくださいよ…」
「び、びっくりした…」
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