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とりあえずその人には俺の上から退いてもらいリビングに移動する。リビングでは既に来ていた白林さんがソファに腰掛けながら優雅に足を組んで申し訳なさそうに苦笑いしていた。
「ごめん廉、廉かと思って開けさせたら華くんだった」
「はぁ?何!俺だって廉かと思ったし!!!」
そう言ってプンスコ怒っている理央さんと呼ばれた人は俺と同じくらいの身長。でも座っている黒川さんの後ろから立ってバックハグするみたいに回している腕は俺より細いし色白で思わず守ってあげたくなる儚い雰囲気だ。その雰囲気に良く合う綺麗な顔でアーモンドの様にくりっとした黒い瞳が印象的な人。絶対いい匂いする。
「お前帰れよ」
「は〜?ヤダ!父さんには許可貰ってるし着替えもあるでしょ!」
「今日は泊まるやついるから無理、帰れ」
黒川さんにぎゅうぎゅう抱き着きながらお願いする理央さんはとても可愛いが黒川さんは冷たくあしらっている。着替えあるんだ…俺のはもちろんないし結構泊まりに来るのかな…いやてか近過ぎない…?どういう関係…?兄弟…には見えないし…恋人…は俺…だよな…と疑問はたくさんあるが理央さんのわがままっぷりに俺も爽も何も言えない。白林さんは『また始まった…』と苦笑いしながら爽を隣に呼んで話を始めた。多分事務所の事かな。俺も進路決めましたって白林さんに伝えるつもりだったのに、、…。
俺?俺は理央さんに睨まれながら椅子に座ってますよ。
黒川さんも面倒くさそうにしながらも結局構ってやってるし俺はぽつんと座ってるだけ。
「おい!お前!」
「金条華だって言っただろ理央」
「おい!金条ってやつ!お前さあ廉の何なの!」
「えっ…」
急に話を振られ反応が遅れる。理央さんは相も変わらず睨んでくるし黒川さんは俺がなんて答えるのか楽しそうにニヤニヤしている。名前教えたならそのまま俺の番で恋人だーって言えばよくね?
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