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「どうした?」
「課題終わってないから早く帰らないといけないんです」
華はそう言って俺の腕の中から逃れようと格闘している。
その後何回か聞いても答えてくれない。意地でも言わないつもりらしい。
「華」
わざと華の弱い耳元で強めに言うとぶるぶる頭を振って俺の腕をペチペチ叩く。可愛い。いやそうじゃなくて何でここまで言わないんだろうか。
「嫌だ言いません帰ります」
「華の事は何でも知っておきたいんだけど」
諦め気味に言うと華の動きが止まる。
これはいけそうか?と最後の押しに出る。
「な?お願い」
少し強請るのをイメージしながら言うと、華の前でクロスした腕にポタっと何かが落ちてくる。水かと思ったがそんなわけない。
すぐに聞こえてきたずびっと鼻をすする音で涙だったのが分かった。
何か嫌なことをしたかと思ったが思い当たる節はない。
華は涙をぼろぼろ流しながら話す。
「…仕事、が…俺…俺、迷惑になりたくないです…」
「迷惑って…お前…」
なんて健気なんだ。
理央とは違い、静かに息を殺して涙を流す華に今まで感じた事のないくらい胸が締め付けられた。
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