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次はクラゲ。 大きな水槽にふよふよ浮かんでいるのを二人で並んで眺める。 ライトアップされているから水色やピンク、紫になっているクラゲ達。今日も浮いているだけで楽そうだ。羨ましい。 隣の黒川さんをそっと見上げる。 クラゲを目で追っていたかと思えば一匹だけを見つめたりしてて可愛い。時々『あれ絡まりそう』とか指差して言ってくれるけど俺はこれからしようとしている事を考えすぎてやっぱり中途半端な返事になる。 ぷかぷか浮かぶクラゲの前。 理央はここで『廉!見て!これ可愛いよ!』って言った。だから俺はそれも上書きする。しなきゃいけない。 やれ、やるんだ俺、俺ならできる。 黒川さんを待ってる時みたいに深呼吸を繰り返す。 理央みたいに、組んだ腕をくいっと引っ張り顎をちょっと引く。 「…廉さん、見てください、これ可愛いですよ」 「…、…」 俺を見下ろした黒川さんとパチっと目が合って、綺麗な顔が暗闇でも分かるくらいどんどん真っ赤になっていく。 それにつられて俺の顔も熱くなった気がした。 なんでそんな顔するんだよ、こっちまで恥ずかしくなってきたじゃんって思ったけど冷静に考えると俺が今までやってきた事はもしかすると超絶恥ずかしいのではないかと気付く。 「、…お前の方が可愛い…よ」 「…………そうですか…………」 周りには人がたくさんいて、多分今も見られてる。 けど俺は黒川さんの事しか考えられない。大好き過ぎて俺ばかり緊張してドキドキしてしまう。 変な事をしてしまった恥ずかしさと、理央には言わなかった『お前の方が可愛い』で嬉しいのが混ざって変な気持ちだ。

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