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体育会
始業式から数日後、今日は体育会の練習で二人ペアになり各自で二人三脚の練習をしている。
二学期の二大イベント、そう、体育会と文化祭。
体育会は2週間後、文化祭は中間テストを挟んで2ヶ月後にある。
従って今日から体育の授業と体育会前の数日は競技の練習だ。
二学期といってもまだ8月だから太陽は茹だるような暑さ。風もないし汗も止まらないしセミの鳴き声ときた。
もう超絶イライラする。
「早くつけろよ」
そして俺の隣にはマジックテープがついた足首をプラプラさせる男。こいつも俺のイライラを増幅させている原因だ。
「…なんでお前なんだよ」
「こっちのセリフだし、多分身長。てか早くつけろよ2回言わせんな!」
ブツブツ文句を言いながら思いっきり顔を顰める理央。
その顔したいの俺だし!!!と心の中で言いながら渋々くっついてマジックテープをつける。
「はぁっ」
近いし暑いし理央だし最悪。爽か琉唯くんがよかった。
「つけてる方からだから」
「ん」
「「せーの!」」
つけてる方、つけてる方、と繰り返し言い聞かせながら右足踏み出す
「っあ、」
踏み出したつもりの右足は踏み出せておらず、無様にコケて二人仲良く砂埃に包まれた。
「お前・・・っ!!!」
地面に倒れ込んでじんじん痛む体。
あまりの痛さに涙目になりながら隣で同じように転んでいる理央を睨む。本当に最悪だ。
「ちっ、違うし!!間違えただけだし!!」
「なら謝れよバカ!!!!!!!!!」
「なっ、・・・」
勢いに任せて怒鳴ると理央はあっという間に俺と同じ涙目になる。
ま、マジか、泣くなよ、怒鳴ってごめん、と謝る間もなく理央の顔がくしゃっと歪む。
そして瞳からボロボロ涙を零した。
「なんでおこるの・・・っ!」
「なんで泣くんだよ・・・俺だって、」
泣きたい。寧ろ俺の方が泣きたい。
うぇぇぇん!と泣き声を上げる理央に頭痛がする。
ちゃんと真面目に練習しようとしたのにコケるし謝られないし泣かれるしガキの子守りかよ。
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