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「ならやっぱしてくれないんだ?」 「…〜っ」 悲しそ〜うに、残念そ〜うにわざとらしく眉を下げる黒川さんを睨みつける。 黒川さんはそんな俺を見て今度はニヤニヤしだした。 あ、左だけ口角上げて笑うのかっこいい…じゃなくて、…。 なんでこんな事になったんだろう。さっきまで黒川さんがめちゃくちゃかっこよくて大好きだったのに。一転して魔王を目の前にしている気分だ。 「…したら嬉しいですか?」 「泣いて喜ぶ」 する、しない、というのは体位の話で、俺があの『騎乗位』をするかしないか、でうじうじ悩むこと数分。 泣きながら『俺も黒川さんに何かしたい』なんて口を滑らすんじゃなかった。 黒川さんが提案してきたのは騎乗位。 俺にはレベルが高すぎるんじゃないかと思う。 でも、したら黒川さんが喜んでくれるなんて答えは九割決まっているようなもので。俺はきっと数分後には頑張るんだ。 「…なら自分でします」 「よし、はいこれ使って頑張って」 頷いて決心した瞬間、俺の気が変わらないうちに渡されたローション。 ギャップを開けて手のひらに垂らすと冷たくヌメった液体に悪寒がする。 「…っ…ぅ…」 あれ?ローションってケツに垂らすんだっけ? 手に出して後ろ触る?てかローション使ってたっけ? 「…?…」 いつも気付いたら挿れられてて気付いたらイってるからどうやって触られてるか分からない。 とりあえずローションまみれの手で後ろを触ってみるけど窪まりに指が入る気配は1ミリもしない。 「……黒川さん……」 考えてもわからないし聞いてみるけど、黒川さんは傍観を決めたらしく、寝転んで俺を見上げる。 これは…意地でも手伝ってくれない気だな… ま、まずは、細い指から… と右手の小指でつついてみる。けどやっぱり入る気配はない。だって出すところだし。数分やってみても全然変わらない。 もうこうなったらヤケクソだ。 ぐっと唇を噛んで、体の力を抜く。 そして少しずつ、少しずつ指を進める、が、 「いっ、…」 全然入らないしあまりの痛さに指をケツに突っ込んだまま動作を停止するという何ともアホ丸出しな状態になる。 い、痛い…!!!! 痛すぎる…!!!!! 「…れ、んさん…に…してもらいたいなぁ…」 「駄目」 僅かな望みも瞬間に潰されて意気消沈。 さっきとは別の意味で泣きながら黒川さんを受け入れる準備を再開した。

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