135 / 225
紫と黒
「ッくしゅ!…っは!」
ぱちっと目を開けると、寝起きのぼやけた視界にオレンジ色の照明。
眩しくて手の甲で目を擦る。
「お、起きた?」
「おはようございます」
横から頭を撫でられた。
右隣には爽やかに微笑んでいる黒川さん。スマホで誰かとメールしてたっぽい。
ていうか黒のベッドの上で黒いTシャツを着て、本当に黒が好きなんだなぁ・・・。
黒川さんの方に寝返りをうつと、俺も同じ黒いTシャツを着ているのに気付いた。
「急に飛ぶなよ、焦るから」
ちょっとむすっとして俺のデコに軽くデコピンをしてきた。
「…ぃてっ…すみません」
どうやらいつかのタイミングで気を失っていたらしい。
体はかなりダルい気がするけど、俺が出した精液やら色々で汚れていたシーツは替えられて綺麗になっていた。
しかも着替えてるって事は多分風呂まで入れてもらってる。また迷惑かけてしまったけど申し訳なさより、ここまでしてくれた事に対する嬉しさの方が大きい。
「ありがとうございます」
「気にすんな。無理させたから」
スマホをベッドボードに置いた黒川さんとの距離を縮めて、ぎゅーっと抱きつく。首元に額をぐりぐりしようと少し顔を上げたその時。
「…?」
ふと首に何か違和感があり、自分の首を触る。
「ん??」
俺の首には何かが巻きついていた。
ともだちにシェアしよう!