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仲直り

「…緊張するな…」 学校に着き、だるい腰を庇いながら上履きに履き替える。 深呼吸を繰り返しながら廊下を歩き、教室へ向かった。 あれから一週間、黒川さんの家でゴロゴロしたり、時々琉唯くんがノートを持ってきてくれたりしたのを写したりして過ごした。 その時に琉唯くんに学校の事を聞いていると『話が長い』って会話を強制終了させられたりしたけど、黒川さんの顔はあからさまにヤキモチ妬いてますーって感じだったからめちゃくちゃキュンキュンしたのはいい思い出だ。 その可愛いヤキモチが溜まりに溜まって昨日抱き潰されるとは思わなかったけど…。お陰で今日の俺の腰は変な感じだ。 「…ふふ…」 かわいい黒川さんを思い出してニヤニヤ。 ハッと口を押さえて当たりを見回す。まだ登校ラッシュより少し早いから周りには誰も居なくてホっとした。 「…危ない危ない」 黒川さん、俺と二人きりだと言動がちょっと幼くなって可愛いんだよなぁ…と思いながら着いた教室の前。 「すぅーーはぁーーー」 一週間ぶりだから本当に緊張する。俺の休みの理由は度重なる体調不良って事になってるらしい。 つまりここでの俺は病み上がりって事だ。まぁ、あながち間違っていない。精神的な病み上がりだし。 「…すぅーーー…」 しつこいくらいに繰り返している深呼吸をやめて、ドアに手をかけスライドさせる。 「おっ、華!!!」 すでに教室に来ていた爽が俺に気付き名前を呼ぶ。 その周りにいた男子数人も入口に突っ立っている俺に寄ってきた。 「お、おはよう」 「おはよ華、…って、…それ、あの人から…?」 俺の首のチョーカーを見て固まる爽。 みんなも興味深そうに見ている。 そんなに見られてもただの首輪なんだけどなぁ…。 「何で言ってくれなかったんだよ〜おめでとうな!」 「おめでとう金条」 爽を筆頭におめでとうと口々に言われ、爽以外のクラスメイトに慣れてない俺はペコペコ頭を下げるだけしかできない。

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