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体育大会
まだ夏の日差しが残るグラウンド。
「お前何回言ったら分かるんだよアホか?」
「は?!バーカ!華が足出すの早いんだし!!」
そこで俺と理央は周りの視線に気にせず言い争いをしていた。
この間と同じようにコケた俺と理央はお互いに睨み合って暴言のオンパレード。
売り言葉に買い言葉、まさにそんな感じ。
「黒川さんに笑われたら理央のせいだから」
「はぁ〜??廉が見たら悪いのは華だってすぐ分かるから!!」
…いやいやどう考えても悪いのは理央だろ。と思うがどうせ何を言っても通じない。
お互いに、はーっとため息をつきながら再び練習を始める。
『仲直り』してから数日後、理央は俺の事を華と呼ぶようになったし、俺も以前ほど理央の事が嫌いではなくなっていた。
なのにこの体育大会の練習だけはどうも上手くいかない。
むしろ黒川さん絡みで口喧嘩が増えたくらいだ。
「ほんっとに最悪」
たった今思っていた事を言われてイラっとし、隣の理央を睨む。
「…こっちのセリフだって」
とにかく練習しかない。
再度お互いに睨み合い合いながら足を動かす。
チラッと見た選抜リレーの練習。爽はキラキラ笑顔で楽しそうだし、琉唯くんは二人三脚だけど他のクラスメイトと上手くやっているようだ。
体育大会本番まであと1週間…本当に琉唯くんにペア頼めばよかった。
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