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「…嘘だろ……」
「?おはよ」
玄関を出て、琉唯くんとエントランスで待ち合わせた俺は絶句した。
「ジロジロ見てんなよ」
「…いや、…ごめん…行こ…」
琉唯くんの右手には俺と同じ赤い糸。琉唯くんがくるっと踵を返してマンションを出ていく。もちろんその動きに合わせて赤い糸も揺れた。
当たり前だけどそれは俺には繋がってない。
「………マジか……」
エントランスを出て少し歩いた大通り、思わず頭を抱えたくなる。
「琉唯くん何か見える?」
「もうすぐで駅が見える」
そう答える琉唯くんには本当に何も見えてなさそうだ。
ありえない。笑えない。
「夢だ…全部夢だ…」
駅まで続く大通り、宝石を泥棒しようとしたらどこからとも無くレーザーセンサーが光るように、そこらじゅう赤い糸だらけなんだ。
人の数だけ伸びる赤い糸。こんなんじゃ避けられない。
どうやって歩こうなんて考えてるうちに琉唯くんはスタスタ歩き出す。
そうだ、これ触れないんだった。
確認のため、右手を前に伸ばすとたくさんの糸は手を貫通する。
なんか変な感じ………。
歩く度に自分を赤い糸が貫通するという何とも奇妙な感覚を味わいながらバイト先の花屋さんまで向かった。
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